知らなかったでは済まされない、MTBでトレイルを走る最低限のルール。

2017.05.07

世間のマウンテンバイクの印象って?

家の近くにある温泉に行った時のこと。

脱衣所で年配ソロハイカーの方が話している内容に、「ギクッ」となり、思わず聞き耳を立ててしまいました。

話の要点としては、簡単なことで

「最近の登山道は自転車で走る人が増えたような気がする。彼らはスピードを出して下ってくるから、突然現れて怖い。ほんと困った存在。どうにかならんものか?」という話。

世間話の相手は山に入らないみたいで、「うん、うん、最近増えたよね。細い峠道を細いタイヤの自転車で登っててびっくりするよ!」と。

うーん、若干話が噛み合っていないみたいで、そこで終わったのですが、先のハイカーの話。

実際、こう思っているハイカーさんは1人や2人ではないでしょう。

そう思うと、たった1件ではありますが、この話は非常に重要な事です。
そう思うと、たった1件ではありますが、この話は非常に重要な事です。

大事だと思うので2回書きました。

最悪のケース

仮にですが、最悪なケースとして、そのマウンテンバイカーがハイカーと接触事故を起こして怪我をさせていたりしたら、自転車は2度と山に入れなくなるリスクをはらんでいるのです。 最近はハイカーの他、トレイルランナーも多く、この危険性は高まっているような気がします。

また近年注目されているアシスト付のE-スポーツバイク(eBike)も加わってくると、この危険性を認識しないままに、業界全体がすすめるのはリスクがあるとも感じます。

本来ルールやマナーさえ守れば、お互い共存できるはずなのに、できないがために締め出されるとなると、それはマウンテンバイクを愛する者にとっては残念でしかありません。

自転車の山への乗り入れについて

【はじめのお断り】

登山道は車道ではないので、「歩道」に近い区分になりますが、「歩道」=登山道というのも必ずしもイコールではないため、自治体の条例や規則で禁止されていない限りは現状は「走行可」または「想定していない」という立場から記載をします。
( 歩道と認識するならば、軽車両(自転車)が通行可能となるのは、軽車両通行可の標識がある場合に限られ、登山道で自転車に乗ることは道路交通法違反になってしまう。この辺りは意見が分かれるし、後述する「東京都自然公園MTB利用自主ルール」の例もあるため、これ以上の記載や意見は一旦棚に上げます。)

自転車の専用コースとして設定されていない登山道(トレイル)は、基本的には歩行者が歩くことを目的に整備されています。 自転車は歩行者よりも自然や道に対してダメージを与える可能性は高く、本来走るべきではないのかもしれません。

 
しかし、マウンテンバイクの楽しみは、森の中の鳥のさえずりを聴き、森の中に吹く風の音、自然に咲く花など季節の移り変わりも楽しめ、ストレスをオフにしてくれます。
また下りに入れば、五感が研ぎ澄まされ、とてもエキサイティングな体験ができます。
マウンテンバイクをしたことがない人にはなかなか説明がしにくいのですが、スキーで林間コースを滑ったり、少しハードな所ではスラロームや、こぶ斜面を滑っているような感覚にも似ています。
ジャンプ台があるような所では、スノーボードのパークそのままです。(ただし、失敗した時のダメージは大きいです。)
 
 
マウンテンバイクでのトレイルライドを通して、自転車の楽しさや自然のありがたみを知り、そのことが環境保全や自転車による地域活性化含む経済効果、登山道の整備、人の手が入ることによる放置林などの解消に繋がるのなら決してマイナスだけではないと思うのです。

ただし、楽しいからと、どこでも走っていいかというとそういう訳ではありません。 そもそもの前提として認識しておくことがあります。

例えば

登山道 「歩道」として、自治体などが明確に管理する場合は、「軽車両通行可」の表示がない限りは自転車の通行は不可になります。
送電線巡視路 送電線保守などのための道路で、これも定めのない限りは自転車の乗り入れは不可になります。
林道 森林法の規定に基づいて設置され、道路法および関連法規は適用されません。 自動車が一般的に通る林道などは道路交通法が適用されるものもあり、そうであれば軽車両の乗り入れが可能となりますが、 柵やゲートがあったり、自動車専用道路だった場合は自転車の乗り入れは不可になります。
自然公園 国立公園、国定公園、都道府県立自然公園の3種類。 風景や自然景観を保護、野外レクリエーションなど自然とのふれあいを目的とした公園で、定めのない限りは自転車の乗り入れは不可になります。

私たちはルールやマナーに沿い、歩行者含む他の方、自然や動物とも共生、共存していくのが理想的な形でしょう。

自主ルール たのしいやまみち

ルールについては上記の通りですが、記載のないことは自主ルールという形で最低限守っていく必要があると考えます。 一つの指針として「たのしいやまみち」という1990年に作成された自主ルールがあります。 

MTB Field Code 楽しく安全に乗ろう、マウンテンバイクルール

た いせつなこと、全て自分の責任で行動しよう
の やまにゴミは似合いません
し ぜんや動物をいたわろう
い つでも歩行者優先、狭い道では降りて譲ろう
や ってはいけないトレールからのはみ出し走行
ま さかのためにヘルメット、グローブは必需品
み うちにツーリング計画を伝えてからスタート
ち ょっとまて、そのスピードだいじょうぶ?

強制力はありません。 しかし、同じ自然を楽しみ、登山道を快適に共有、未来に残していくために最低限守っていくことを強く希望します。 そして、より具体的にしたものとして、一つ下記が挙げられます。

東京都自然公園MTB利用自主ルール」の要旨
※外部サイトにリンクしています。

抜粋させていただくと下記の通りです。 (東京都を対象としているため、一部他の地域では当てはまらない場合があります)

 
■山に行く前に準備すべきもの

◇自分の体を守るもの(ヘルメット、グローブ、笛、絆創膏、水など)
◇遭難を防ぐもの(地図、コンパス、携帯電話、明るいライトなど)
◇保険への加入

 
■山に行く前に身につけておくべき知識と技術

◇救急救命の講習を受けておく
◇まずはMTBスクールや初心者向けツアーに参加する
◇山中のルートの詳細をインターネットに公開しない

 
■山での行動のガイドライン

◇自分を守るために
・家族や友人に行動予定を知らせる
・入山届けが必要な山では届け出る
・2から4人くらいのグループで入山する
・事故が発生した際は救助に全力を尽くし、通報する

◇ハイカーの安全のために
・登山道では歩行者優先(歩行者に危険を感じさせないこと、)
・歩行者とすれ違うときは自転車から降りて待機
・狭い場所での追い抜きは避け、一声かけて抜かせてもらう
・歩行者の傷病者を発見した場合も、手当てや通報に協力する ◇登山道を保護するために
・整備された登山道の外には絶対に出ない
・タイヤを滑らせたり、階段をMTBで下りたり、土を崩したりしない
・雨や雪が降った後は山を走らない
・タイヤを空転させない
・同じルートを1日に何度も反復しない

◇MTBのイメージアップのために
・積極的なあいさつを心がける
・山の中で自転車を停める際は、邪魔にならないよう注意する
・登山道修繕などの活動に積極的に参加する
・勝手に登山道を改造しない

◇ハイカーとのすみ分けを図るための利用自粛
・高尾山、陣場山周辺の登山道には乗り入れない
・御岳山のケーブルカーの利用は原則として控える
・午前の早い時間に入山し、遅くとも午後4時には下山していること
・行楽シーズンなど他の利用者が多い時期の利用は避ける

 

さらに付け加えている、自主ルール

   

上記に加え、私は下記の自主ルールを付け加えています。(少し上記ルールと外れる内容もありますが、走る地域に合せています。)

01.スピードは控え、いつでも停止できるように
02.ハイカーすれ違いの際には必ず下車し、にこやかに挨拶
03.少人数(市役所の方ともお話し、3人以内)で入山
04.ゴミは他人が出したものであっても見つけたら拾う(ゴミ袋は常に持参)
05.タイヤの跡をどこにもつけない
06.ぬかるみにはタイヤを入れない

自然に対して少しでもダメージを与えるため、その分は綺麗にしたりしたいという気持ちです。 来た時よりも帰る時は綺麗に、というアウトドアのルールと同じですね。

 

まとめ

歩行者含む他の方、自然や動物とも共生、共存していくには、まず自転車側の立場が重要です。

今の状況より、良くなるのも悪くなるのも私たちのマナー次第です。

マウンテンバイクはとても楽しい遊びです。
様々な人にそのことを知ってほしいのですが、遊びにルールが存在するのと同じように、知っておくべきことがあります。

今回、「ルール(規則)」という記載で統一させていただきましたが、本来はマナーやモラルの問題なのです。

 

マナーやモラルの認知は販売店の役割でもあるのですが、力及ばず、限界があるのも事実です。(なので今回はネットの力を借りました・・・)
上記を読んで「めんどくさい」「関係ない」と感じたり、とにかくスピードを出したい方は、お金を払い、専用コースに行くことをおすすめします。 (と言っても、これをここまで読んでいただいている方には釈迦に説法ですね・・・)

ハイカーやトレイルランナーの一部でもマナーやモラルの欠如した方をたまに見かけるのも事実です。 しかし、お互い自分優位で責め合っても仕方がありません。 すべての人が山を、自然を大切にし、そして楽しめることを強く願っています。

 

TEXT:toby