外れないチェーンリング、ナローワイドとは? チェーンリングで実験してみました。

2016.05.07

最近流行ってるナローワイド、どこがそんなにいいのだろう?

2012年頃にスラムが発表したXX1のワンバイイレブンをきっかけに、MTBコンポーネントのスタンダードを変えたフロントシングル化。
(X-SYNCと呼ばれている)

シマノでは同じ考えの技術をダイナミックチェーンエンゲージメント(「Dynamic Chain Engagement」(DCE))と呼んでいます。

今までチェーンデバイスがないとチェーン落ちしてたのに、チェーンリングの形状を変えることにより、デバイスなしでもチェーン落ちなどのトラブルを激減させているのです。

近年ではシクロクロス(CX)の世界でも浸透してきています。

どこがそんなにすごいの?

ナローワイドの威力

とりあえずこの画像を見てください。

折りたたみ自転車が写っているだけ?のように見えます。

いやいや、もう少し近づいて見てみましょう。

んん?別の角度から。
 
 
引っかかってる?

チェーンリングにわずか5リンク分引っかかっているだけで、10kg以上のSTRIDA(ストライダ)を支えています。

もっと負荷をかけてみた

なんか実験していながら私自身もマジックを見ているようです。

まだまだ耐えられそうなので、私も体重をかけてみたいと思います。

なるべく数値としてお伝えしたいので、特別な計測ツールを用意しました。
イマダ メカニカルフォースゲージ というもので、500N(ニュートン)まで計測ができます。

 
力をかけます。というか体重のほとんどを預けます。
軽く400Nの力にも耐えます。(実は1回目、450N辺りでワイヤーの方が耐えきれなくて切れた・・・)
 

ちなみに、400Nという力は、kgに換算すると、

4,078.86kgf・cm(キログラム・センチメートル)ということになります。

噛みついたら離しません。すごい!
こんな実験をすると、通常使用においてチェーンが外れるということを想像しにくいです。
(※はずれないことを保証するものではありません。あくまで、一方向に対して力をかけた際の結果です。)

チェーンリングの構造に秘密

こんなに力を入れても外れない。これには、当然チェーンリングの構造に秘密があります。
 
太い部分(ワイド)と細い部分(ナロー)の組みあわせにより、チェーンをがっちり噛んでいるのです。
 製品自体は違いますが、わかりやすいのでスラム様の海外サイトより引用させていただきました。
 
改めて写真でみるとよくわかりますね。
スラムと違うのは、チェーンとチェーンリングが+-のようにはなっていません。が、この保持力。
チェーンの噛み合う位置も決まっており、1リンク分ずれるとチェーンが噛み合いません。
チェーン離れを心配する声もあるかもしれませんが、そこは心配無用。クランクが回る方向の力に対してはするっと、通常のチェーンリングと同じように移動してくれます。

なお、実験で使用しているのはこのチェーンリングです。

なぜナローワイド化させるのか?そのメリット、デメリットとは?

ナローワイドのすごさがわかった所で、本題。

なぜナローワイド化させるのか?そのメリット、デメリットとは?
 
■メリット
・フロントシフター、ディレーラー、チェーンリングを1枚取り外しできることにより、軽量化が可能
・チェーン落ちなどのトラブル解消
・フロントディレーラーへの泥づまりがなくなり、トラブルの減少が期待できる
・変速操作は右手だけなので走りに集中できる
・整備箇所が減り、時間の短縮、簡略化できる
・チェーンリングが小さくなった事で地面とのクリアランスができ、障害物のリスクヘッジができる
 
■デメリット
・ギアの組み合わせが減るため、対応できるコース(道)の範囲が狭くなる

などでしょうか。
注意しなくてならないのは、ナローワイドは単純にフロントシングル化させることに加えて、幅広いギアレシオのリアスプロケットも肝となります。

ただ、難しく考えなくても、街乗りで特定のギアしか使わない方は、一気に軽量化もでき、非常におすすめなカスタムです。
ナローワイドチェーンリング一覧
 

チェーンリングを替える時はPCDを計測する必要があります。

どんな人にオススメ?

これからリアがより多段化、及びワイドギアレシオ化することにより、ロードにも一般的になるのでしょう。

それは2014年のユーロバイクにて参考出品の形で発表され、今年正式に発表されたアーバンバイク用コンポ「METREA(メトレア)」を見れば、ロードバイクのフロントシングル化の波がすぐそこまで来ていることが想像に難くないです。

なお、シングルスピード(ピスト)へのインストールを検討している方もいるかもしれません。
結論から申し上げると、多段変速用ナローチェーン用のため推奨はできない組み合わせです。

シングルスピードに採用されている厚歯チェーンは、ピッチこそのナローチェーンと同じなのでハマるのですが、チェーン幅がチェーンリングのワイド側の歯より広いため嵌合力は弱くなります。
そもそも、シングルスピードのチェーン外れにお悩みに方は、チェーンの伸びなどそれ以外の所に大きな原因があります。
チェーンテンションでもエキセントリックBBでも、しっかりとチェーンにテンションがかかっていれば、通常のチェーンリングでもチェーン外れは起こらないはずです。
ということで、ナローワイドチェーンリングの前に、原因追及をした方がよさそうです。
フォーリアーズ[FOURIERS]
CX-1042A ナローワイドチェーンリング PCD:104mm
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