PCDについて
チェーンリングの歯数を変更するときに注意すべき点として、
- スプロケット(後ギア)の段数
- クランクアームの数
- PCD
の3点に注意する必要があります。では「P.C.D」とは一体何でしょうか?
PCDとは
PCDとは「Pitch Circle Diameter」の略です。下の図のように、フロントギア板を固定するボルトを結ぶ円の直径(ピッチ円直径)を表します。
BCDと表記するケースもありますが、どちらも意味は同じです。ちなみに、BCDとは「Bolt Circle Diameter」の略で、ネジ切りをしてボルト基準にした場合にはこちらの標記を用います。
アウター/インナーで固定ボルトが異なる場合は、それぞれのPCDが記載されます。
ロードバイクの場合
- フロントギアが2枚---アウターxインナーのPCDは共通(モデルにより2種類の場合もあり)
- フロントギアが3枚---アウターxセンター、インナーギア、2種類の PCD
マウンテンバイクの場合
- フロントギアが2枚---アウターxセンター、インナーギア、2種類の PCD(モデルにより1種類の場合もあり)
- フロントギアが3枚---アウターxセンター、インナーギア、2種類の PCD
基本的にアウターギアとインナーギアは、一つのボルトでスパイダーアームに挟んで取り付けるので、同じPCDです。カンパニョーロの4アームクランクや、MTBのダブル(一部モデル除く)等、取付ボルトがアウターとインナーで異なるモデルは それぞれのPCDが表記されます。
トリプルギアのインナーギアはそれ用の台座に取り付けますので、一回り小さいPCDとなり、アウター/センター(赤)と、インナー(青)の2種類のPCDとなります。
ロードバイクのPCDの種類
- 130mm (シマノ、スラム、スギノ他、各社でのノーマルクランク)シマノの4アームクランクが普及するまでは、各メーカーで広く使われてきたサイズです。よくある歯数:53/39 52/39 50/39※インナーの最小が39または38
- 110mm (シマノ、スラム、スギノ他、各社でのコンパクトクランク)よくある歯数:50/34 50/36※インナーの最小が34
- 110mm (シマノの4アームクランク)近年、シマノでラインアップされている新タイプです。アームの配置が異なる(均等でない)ため、通常のPCD110㎜のチェーンリングは付きません。よくある歯数:53/39 52/39 50/39
- 135mm (カンパニョーロのノーマルクランク)よくある歯数:53/39 52/39 50/39
- 110mm (カンパニョーロのコンパクトクランク)よくある歯数:50/34
- 145mm/112mm(カンパニョーロの4アームクランク)2014年からラインアップされているカンパの新タイプです。よくある歯数:53/39 52/39 50/39
- コンパクトクランクについて、シマノの110mmとカンパニョーロの110mmの互換性はありません。(カンパニョーロはクランク裏側ネジが数ミリオフセットされています。その為、カンパ対応以外の110㎜チェーンリングはネジ穴の位置が合わず、取付できません。)
マウンテンバイク・クロスバイクのPCDの種類
- 104/64mm(シマノ)よくある歯数:トリプル 42/32/22 44/32/22 48/36/26 48/38/26 ダブル 40/28 38/26 38/24 36/24
- 96/64mm (シマノ)よくある歯数:トリプル 40/30/22 ダブル 38/28 36/26 34/24
※古いクランクですと、110/74 94/58 112/68 などがありますので、ご注意ください。見た目で判断せず、必ず型番から判断して下さい。
PCD以外に見るべきポイント
クランクアームの数
ロードは5アーム、MTBでは4アーム(古いモデルは5アームもあります)。最近はロードでも4アームが主流になりつつあります。
リアスプロケットの枚数(チェーンの段数)
6/7/8段、9段、10段、11段チェーンのピッチはそれぞれ同じですが、チェーンの幅が異なります。その為、例えばリア9段専用に設計されたフロントチェーンリングは、リア10段で使用することは出来ません。変速ピンに引っかかるなどして使用できないケースがあります。
チェーンの幅はわずかな違いの為、「9/10段対応」「10/11段対応」といったように共通化されている事がほとんどですが、まれにその変速段数専用のものもあるため、自分の変速段数に合っているかよく確認してお求めください。
その他
チェーンリングとは直接的な関係はありませんが、2T以上ギアを大きくしたり、小さくした際にはチェーンの長さが変わる為、チェーンの調整または交換が必要になります。また、大幅にフロントの歯数を変更する際は、フロントディレイラーの取付け位置も再調整が必要です。その際、場合によっては、シフトワイヤーの交換も必要になります。