第三回会議は大阪の都島区にあるサイクルベースあさひの本社にて行われました。まずテーマは前回の会議で、荷物がたくさん詰めて堅牢なイメージがあるピックアップトラックの要素を盛り込む、ということになりました。今回はあさひ、チムチム、それぞれが持ち寄ったデザインを元に話を進めていきます。さあさあどんどん盛り上がっていきますよぉ~!

全員が持っている知識とアイディアの結晶

今回からサイクルベースあさひのバイヤー、熊野さんも加わり行われた第三回会議の光景。各々が持ち寄ったデザインの刷り出しをテーブル上に広げ、その中からアイディアを絞っていき、パソコンの画面を会議室の壁に投影しながら、その場で大まかなデザインも決めていったのです。

ファットタイヤで乗りやすくし、大容量の荷室を確保

チムチム鈴木
シングルキャブのロングベッドのピックアップトラックをイメージするということで、ベッドとキャビンを離したようなデザインにしました。そして、低重心にすることで荷物の載せ下ろし、子供の上げ下ろしを楽にする。さらに、トップチューブに曲げを入れ、お父さんが跨ぎやすくするというのがポイントです。あとは作りながら補強を入れ、チェーン、クランクの干渉を見ていきたいと思っています。
あさひ賀畠
後ろの荷台の設定は何か考えていらっしゃいますか?
鈴木
実際に絵を起こしたりしてみて、先月見ていたラジオ・フライヤーみたいなプラスティックのケースを載せられたらと思ったんですけど、真四角の箱をリアに置いた時に、ペダルを回す足の干渉が起きてくると思うんです。なので、実際に形にしてから想定をしていった方が良いかなと。デザイン上で逃げていたとしても、例えば足の大きな人がいたらカカトがぶつかっちゃう、かもしれないので。
編集部
なるほど。あさひさんの方はいかがでしょう。
あさひ野田
先日、賀畠と梁がチムチムさんにお伺いしていた時、ちょうど上海の展示会に行ってきまして、全体的な流れとしてファットバイクが来てるようなんです。数年前からブームはきていたんですが、部品をアセンブリする機械が追いついていなくてほぼワンオフに近いような状況だった。それがここに来て部品屋さんも本腰入れて量産部品を作ってきて選択肢が広がってきたんです。前回ピックアップトラックとラダーフレームの形状を生かすという意見が出たようなので力強さを強調しています。ちなみにホイールは20型ですね。
賀畠
タイヤをファットにすることで走破性も上がるし、見た目だけじゃなく、実際に強い構造になっているんですよね。そこに大きな荷物を積むということを踏まえて辿りついたデザインになっています。
鈴木
ファットの20型って流通量がかなり少ないですよね……?
賀畠
国内はなかなか少ないですね。
鈴木
26、29くらいのマウンテンバイク系はだいぶ種類が増えてきている感じはしますけどね……。20型のファット乗ってて、道でパンクや破損を起こしたらと考えると……。
あさひ熊野
特別なPB(プライベート・ブランド)商品だと店舗でストックが出来るので、そこで何とか賄えるとは思いますが……。
鈴木
出先でパンクして、運良くあさひさんのお店が近くにあれば良いですけどね……。うちでもパンクしちゃったんですけど、って29型のとんでもないファットに乗って来られた方がいらっしゃったんですよ。その時、チューブの在庫が無くて取り寄せて直すのに一週間以上かかってしまったんですね。ただ、あさひさんがこれを機にファットバイクを世間に広めて町の自転車屋さんでも扱えるようになれば、かなり大きなブームが来ると思いますね。
野田
これまで私も色々と企画系の自転車を作ってきてますし、あさひのスケールメリット(=経営規模の大きさによって生産性が向上するという意味の言葉)と経験もありますから、今、鈴木さんがおっしゃられたハードルは越えられると思います。今やっぱり旬だということで、ファットバイクは作るに然るべき自転車なのかなと。
編集部
僕は最近ストリートでファットバイクをよく見かけるんですね。それを見かけるとやっぱり、おっ、って注目しちゃうんですよ。だから、お父さん仕様のファットバイクがあったら良さそうですよね。
賀畠
絶対カッコ良いですよね。
編集部
実際に乗ってみるとどうなんでしょう?
熊野
普通の自転車とあまり変わらないですね。むしろ、エアボリュームがある分、ホバークラフトのような、宙に浮かんでるような感覚で乗れるので心地良いですよ。
野田
あとはトラックの荷台のイメージというお話でしたので、カゴの底面を鉄、もしくはアルミのところでプレスを入れてベッドの部分に質感を出します。バスケットの部分はアルミの線材、あるいはパイプで作っていこうかなと思っています。
あさひ梁
我々の目標としてどんな荷物を載せられるべきかと考えたんです。そこで出たのが24缶入ったビールのケースで、そのスペースを確保しようということを念頭に置きながらデザインをしています(笑)。
全員
(笑)
編集部
では、今出たファットタイヤ、荷台のアイディアを生かして、さらにピックアップトラックらしさを出していきましょう。後ろを長くして規定の全長1900㎜ギリギリまで攻め、より荷物を載せられるよう荷台大きくし位置を下げる。そうすれば、コンセプトがパッと見て分かるようになると思います。そして、買ってからカスタムを楽しめるよう、各パーツに汎用性の高いものを使う。出来上がったあとに様々な遊びの提案が出来るよう余白を残しておくことも重要だと思います。
なるほど。これはもうこの場で作っていった方が良さそうですね。
野田
そうですね。パソコンで図面を見ながらみんなで手直しをしていきましょう!
そんなこんなで……いよいよ形が見えてきたぞ!!

BIKE DESIGN

自転車のデザインを超チラ見せ。まだ詳細はお伝え出来ませんが、ピックアップトラックのエッセンスを十二分に生かした、今までにない、なかなかカッコ良い自転車が出来そうだと自負しております。次はこのデザインを元に試作を行います。そこでは形を明らかにしますので、しばしお待ち下さい!

LOGO

ひじょーにさり気ないご報告ですが、我々のパパチャリは、88=パパと、“8”の造形が自転車のチェーンのように見えるから、ということで88 CYCLE(ハチハチサイクル)という名前になりました!上にあるのはロゴ。まだ仮のデザインですが、最終的なものが決まったらまたこちらでご報告します!

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デイトナ289号に掲載

ピックアップトラック+自転車=パパチャリ?

AT 都内某所の会議室
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