必要なパーツ
現在履いているホイールはWH-MT35 27.5インチ(650B)というもので、このホイールの説明には8/9/10Sと記載があるのですが、実際にはMTB用の11速スプロケットであれば装着することができます。(シマノの見解でも問題ない組み合わせです。)
最初からフロントシングルであれば、必要なコンポーネントは下記の通り。
フロントシングルでなくても、チェーンリング交換だけで済むので、費用としてはそんなに跳ね上がりません。
[SLX] CS-M7000 11S 歯数:11-42Tフロント:ダブル、シングル用
[SLX] SL-M7000 右レバーのみ 11S (バンド)
[SLX] RD-M7000-GS 11S ダイレクトマウント対応
CN-HG601 HG-X シマノ11速(ロード/MTB)対応チェーン 116L
税込2万円弱でコンポ入れ替えができて激変するなら、費用対効果はすごく高いと感じます。
実はチェーンリングもシマノ製にしようかと思い購入したのですが、私のチェーンホイールは一昔前のXT PCDは104mm。
今のSLXは96mm・・・値段が安く、PCDのことなどチェックせずになんとなく買ったのが仇になりました。。やっちまった。
見てください、このナローワイド形状。
シマノでは同じ考えの技術をダイナミックチェーンエンゲージメント(「Dynamic Chain Engagement」(DCE))と呼んでいます。
フロントがシングルでない場合は、PCDを計測してください。
私と同じ104mmの場合は下記のようなタイプをご利用ください。(32Tをチョイス)
CX-1042A ナローワイドチェーンリング
※チェーンリングの後に見えているのは、緊急用のインナーです。手でチェーンを移動しないと使えないので普段は使いません。
1.洗車
せっかく後輪やスプロケットを外すのだから、普段手の届かないところも含めて洗車してしまいます。
水のない所ではクリーナーが便利。
Dirtwash(ダートウォッシュ) バイククリーナー 容量:1L
タイヤの側面含めて綺麗にしました。(真ん中から右がきれいにした箇所)
2.スプロケット交換
さて、突然ですが問題です。
スプロケットを外す際の、工具の位置は、「ア」と「イ」のどちらがより楽でしょうか?
ア
イ
正解はどちらでもいいのですが、意図する正解は「ア」です。
メンテナンス本などを見ると、だいたい「イ」の方法でやるように推奨していますが、自体重を両方(モンキーとスプロケット外し工具)に分散してしまうため、固く締まっていた場合、体重以上の力をかけることができず、特に緩みにくくなってしまいます。(私が小柄で体重がないというのも理由です。)
また、慣れない方が作業した場合、体重をかけたまま転倒するリスクもあるため、私はいつも「ア」の位置に工具を持ってきて、作用反作用の力を使って緩めます。
11速のスプロケット(左)、9速のスプロケット(右)
11速大きい!
なお、カセットスプロケ全体の長さは、11速>8速/9速>10速>7速の順番で 小さくなります。
たったギア2枚ですが、これだけ大きさが違うと差があるのもわかりますね。
裏側はこんな感じです。
3.リアディレーラー&シフター交換
古いディレーラーを外し、新しいディレーラーを装着します。
グリップを外し、シフター本体を外します。ワイヤーを抜き取る場合は、画像のプラスドライバーを回せばワイヤーを抜き取れます。
新しいシフターには予めワイヤーが装着されているので、インナーワイヤーを地面に着けないように注意してリアディレーラーまで引っ張ってきます。
4.リアディレーラー調整
ワイヤーを通すルートに注意してください。
線の位置にワイヤーを通し固定します。
ホイールを装着し、私はチェーンを通す前に変速調整をしてしまいます。
上の六角レンチを入れている赤丸ボルトはトップ側の調整
後方から見て、ガイドプーリーが最小スプロケットの外側の線の上にくるように、トップ側調整ボルトを回して調整します。
下の赤丸はロー側の調整をします。
手でディレーラーをロー側に移動させ、ガイドプーリーが最大スプロケットの真下にくるように、ロー側調整ボルトを回して調整します。
青丸はBテンションボルトではなく、エンドアジャストボルトと言うみたいです。
ロー側の最大ギアに移動した際に、ガイドプーリーがスプロケットと干渉しないように調整します。
トップ側でもプーリーがスプロケットに接触しないことを確認します。
これらは、本来チェーンを装着してする作業ですが、手でディレーラーを移動させることにより、短時間でできるというメリットがあります。
参考までにシマノの見解では、
リアディレイラーを最大スプロケットにセットし、車輪を止めてからガイドプーリーの先端と最大スプロケットの先端の間隔が(z)の範囲にあることを確認します。
(z)
5-6mm.
(最大スプロケット歯数が42T以下の場合)
8-9mm.
(最大スプロケット歯数が46T以下の場合)
※最大スプロケットとガイドプーリー間の距離の確認は、リアサスペンションが一番伸びている状態で確認してください。
5.チェーン装着
チェーンの装着、最適な長さ計測はどうするかご存知ですか?
ガイドプーリーとテンションプーリーが地面に対して90度・・・と考えた方は今回不正解です。
上記はロードバイクなど、最大スプロケットが27T以下の場合に適用される長さの算出方法で、最大スプロケットが28T以上の場合は下記の方法で算出します。
チェーンを最大スプロケットと最大チェーンリングにかけます。
その後、チェーンに2リンクを加えた長さにセットします。
MTBでフルサスの場合は、一番テンションがかかった状態に合わせます。
今回は私より重い人に乗ってもらい、その状態でチェーンの長さ決めを行いました。
チェーンの長さが決まったら、ディレーラーのプーリーを通してコネクティングピンで接続します。
この時、チェーンには表裏があるので注意です!
裏側
表側
チェーンを繋ぐ際はチェーンフックを活用してもいいですが、ギアをわざと落とし、繋ぐ方法もあります。
無事に装着できました。
念のため、エンドアジャストボルトのクリアランス、変速確認を行い、問題なければグリップ等を元に戻して終了です。
(必要に応じて、スタビライザーの設定を行ってください。)
■チェーンの寿命って?
まだまだ先の話になりますが、チェーン寿命の判断方法はご存知ですか?
チェーンの寿命がきたまま使い続けると、変速レスポンスが悪くなるのは当然として、スプロケットなどのギア類の摩耗がより進行します。
その結果、新品チェーンに交換した時にギアが噛まない!?という事態が発生するのです。
そうなったらチェーンの他、ギア類も変更しなくてはいけません。
さて、その計測方法ですが、チェーンを引っ張り、ギア歯が見れたら寿命など、ざっくりとした判断は可能ですが、ナローワイドはギア歯に対してチェーンががっちり噛みこむのでこの計測方法も使えません。
ギア歯が見えているため、このチェーンは寿命がきたと一応の判断材料にはなりますが・・・当然ナローワイドだとこうはいきません。
多段になるほどチェーンに対しての負荷も大きくなります。負荷のかけかたやメンテナンスの状況にもよるため一概には言えないのですが、一般的には3000-4000kmごとの交換が望ましいです。
特にナローワイドタイプのチェーンリングをお使いの方には、定期的なチェックのためにも、チェーン計測ツールを一つ用意しておくと便利です。
(単品で買うよりも併せて買っておいた方がいい値段のものばかりですし。)
NG例
そんなに乗っていないと思っていたのに・・・。
OK例
新品のチェーンは当然こうなります。
まとめ
交換した結果は狙い通りで、今までダンシングして頑張っていた17%位の坂がシッティングで余裕を持って登れてしまい、思わずニヤけました。
でもラクしすぎないように、一番軽いギアはなるべく残しておこうと思います。
9速と11速ではたった2段の違いですが、その中身は最大歯数で14Tもの差があるのです。
9速 は11-13-15-17-19-21-24-28-32T
11速は11-13-15-17-19-21-24-28-32-37-46T
(私のは42Tまでにしたので、実差は10Tです。)
ギア比では以下の通りになります。
※ギア比はクランクが1回転する度に、後輪が何回転するかを表しています。
28T | 32T | 37T | 42T | 46T | |
32T | 1.14 | 1 | 0.86 | 0.76 | 0.7 |
34T | 1.21 | 1.06 | 0.92 | 0.81 | 0.74 |
36T | 1.29 | 1.13 | 0.97 | 0.86 | 0.78 |
38T | 1.36 | 1.19 | 1.03 | 0.9 | 0.83 |
標準フロント3枚のギアでは(48/36/26で仮定)
28T | 32T | 34T | 42T | 46T | |
26T | 0.93 | 0.81 | 0.76 | – | – |
36T | 1.29 | 1.13 | – | – | – |
48T | 1.71 | 1.5 | – | – | – |
見るとわかりますが、9速のままのフロントインナー26T×32Tよりも軽くなり、34Tを入れるのと同じギア比となるわけです。
フロント変速の煩わしさを感じている方や、フロントシングル化による軽量化を狙っている方には、かなり費用対効果の高いカスタムとなります。
このワイドギアレシオ、一度使ったら戻れませんね。
自分での組み換えに自信のない方は、「ネットで注文、お店で取り付け」サービスをご利用いただければ、工賃が10%OFFになりますので是非ご活用ください。
MTBを11速にしたのもつかの間、既にMTBの世界にも12速化の波がやってきました。
シマノの12速はフレームエンド幅がよりワイドな142mmからで、残念ながら135mmには対応できません。
ここは技術的な問題ばかりではなく、よりワイドギアレシオを実現するための、理想を追求した結果になるのかと思います。
スプロケットは、「マイクロスプライン」システムと呼ばれ、以前のスプロケット形状とは全く異なるデザインです。
スプラインを細かくすることで、スプロケットが噛み込むことを防止し、なおかつトップギア10Tという小さなギアの取付も可能としています。
最小10Tから最大51Tと、とんでもないギアレシオですね。
私自身、ワクワクするのですが、これ以上先は自転車フレームを買いなおさないといけません。
ひょんなことから、12速化できるフレームが手に入ったら、またレポートしたいと思います。
TEXT:toby