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メニュークリックで該当箇所までスクロールできますチューブレスレディとは
そもそもチューブレスレディって何?という人もいるかと思うので、簡単にご説明させていただきます。
チューブレスレディタイヤは、シーラント剤を使用することでチューブレスとして使用することのできるタイヤです。(”TLR” と略される事もよくあります)
今回使用したタイヤ

ホイールは[XT]WH-M8000シリーズ

要は、シーラントを使い、細かなホイールとタイヤの隙間を埋めることにより、チューブが無い状態で運用できるのです。
チューブレスレディとチューブレスの違い
同じくチューブが無い状態で運用できるのはチューブレスも同じですが、チューブレスレディとはまたタイヤの構造が微妙に異なっています。
チューブレスはタイヤ内側に厚いエア保持層を設けており、空気の漏れを防いでいます。
チューブレスレディはそのエア保持層がない(または薄い)ため、主にラテックス系のシーラントで補っているのです。
薄く作っているので軽量でしなやかなタイヤを作れるという点がタイヤ特性としてはチューブレスレディとチューブレスタイヤとの違いとなっています。
MTBではチューブレスレディ化はもはや定番ですが、ロードではまだ定番までは至っていません。タイヤラインアップも増えてくるこれからは間違いなく定番になっていくでしょう。
その他のメリットとして以下のようなことが主に挙げられます。
チューブレスレディのメリット、デメリット
■メリット
1.ホイールの軽量化
チューブを使用しないため、ホイールの軽量化が図れる。
→例えば、パナレーサーの標準的なブチルチューブ(27.5×1.50)が205gとすると、シーランとは片方でおおよそ60gとなり、軽量化が図れるのです。個人差はありますが、このわずかな差でも、ホイール周りの軽量化は初速や登りでは特に効果を感じることが可能です。ダウンヒルタイヤなど、太ければ太い程重量差のメリットは生まれてきます。
2.耐パンク性アップ
小さなパンク(約2.5mmまで)であれば、シーラント液が穴を塞ぎ、パッチ等で直す必要がない。
また、チューブタイプのタイヤと比較して、低圧で走っても、リム打ちによるパンクがない。
→ロングツーリングやレースで特に恩恵が期待できます。
3.転がり抵抗の低減
チューブを使用しないため、タイヤ変形時のエネルギー、タイヤとチューブの間で発生する摩擦ロス軽減により、路面抵抗が低減。
内部の空気圧で直接タイヤを膨らませる事で真円率も高い。
4.乗り心地の向上
リム打ちパンクのリスクがないため、低圧での走行が可能となり、より快適な乗り心地と転がり抵抗低減の両立できる。
→マッドな路面で空気圧を下げたくても、木の根っこが露出していたり、ゴツゴツの石が多い場所では空気圧でのコントロールは難しかったのですが、調整幅が広がるわけです。
5.ハンドリング(操作性)の向上
チューブがなくなることによって、路面状況を掴みやすくなり操作性に優れる。
小さなメリットの組合せが、体感できるくらいの変化をもたらしてくれます。
反対にデメリットも当然あります。
■デメリット
1.汚れやすい
シーラント液を使用するため、タイヤ交換作業が少し面倒になり、手なども汚れやすい。
2.匂いが気になる
狭い密閉空間で作業を行うと特に匂いが気になる
→アンモニアフリーのシーラントでない場合、髪染めを行っているような、ツンとした匂いを感じます。気になる方はアンモニアフリーをお選びいただくことで解決します。
3.定期的メンテが増える
定期的にシーラント液の補充が必要
→乾燥してしまうと耐パンク性能が当然落ちてしまいます。
4.エアの減圧が早い
クリンチャー(チューブド)に比べエア保持力が低い。エア量の少ないロードは顕著。
5.高い
クリンチャー(チューブド)であれば1本2000円前後から選べるが、チューブレスタイヤは5000円以上からと高額になる。
6.作業時間、場所の制約
石鹸水やシーラントが多少こぼれることも多く、対応できる場所の確保が必要
→デメリットの中では、特に作業環境というデメリットが大きいでしょう。
慣れないとシーラントをこぼしてしまうこともあり、しっかり拭き取らないとベタベタしてしまいます。
また、シーラントを入れ替えるとなると元々入っていたシーラントを拭き取り、綺麗にしてから再度充填する必要があるため、この点はクリンチャー(チューブド)と比べて非常に面倒な部分です。
やはりここでもメリット、デメリットを勘案して決めるわけですが、走りに重きを置くのであれば、チューブレス化はぜひやっていただきたいことです。
なお、手順としては以下のようになります。
チューブレスレディ タイヤの装着方法
1:事前準備
→チューブレスレディ対応のホイール、タイヤ、フィッティングローション(石鹸水などでも代用可)、シーラント、インジェクター、バルブキット、バルブコア外しツール、(必要に応じて)専用タイヤレバーを用意しておきます。
タイヤは癖がついている場合があるので、裏返し、癖をなるべく取り除いておきます。
2:バルブキットを取り付けしたホイールにタイヤをはめ込む
→この時、専用ではないタイヤレバーは使わないようにご注意ください。また、タイヤの向きはよく、よくご確認ください。
3:タイヤのビード部全周にフィッティングローションを塗る
→しっかりと全周に渡って塗ってください。
ハケなどで塗ってもいいですが、私は歯ブラシを使いました。
4:シーラントの注入
→シーラント容器をよく振り攪拌させた後、バルブキットからバルブコアを外し、バルブ位置を8時、または4時の位置にしてからインジェクターでシーラントを注入します。
専用ツールでバルブコアを外します。
インジェクターをシーラントに入れ、60ml吸い出します。
インジェクターに目盛がない場合は、予め計測して入れてください。
■タイヤごとのシーラント液使用量目安
・ロードバイク:約30-60ml
・MTB:約60-90ml
・ファットバイク、27.5、29er+:約120ml
※いずれもタイヤ1本辺り
今回、私は約60ml入れました。
MTBの場合、インジェクターがなくてもテクニックがあればシーラントを入れることができます。
ロードの場合はインジェクターがあった方が作業はしやすいです。
予め計測した量のシーラントを入れ、その後にタイヤをはめ込むのでも問題ありません。
5:バルブコアを再度取り付け、ホイールを振る
→一旦バルブをしめてから、タイヤ全周にシーラントが行き渡るようにホイールを水平にしてゆっくりと左右交互に上下させます。反対側についても同じように作業します。
地味ですが非常に重要な作業です。しっかりとシーラントがタイヤに行き渡るようにしましょう。
6:フロアポンプ(エアコンプレッサー)で空気を充填
→この時、しっかりとシーラントが行き渡っていれば、フロアポンプでも驚くほどスムーズにパチン、パチンとビードがリムにはめ込まれて行きます。部分的にエア漏れしていれば、シーラントが塞いでくれます。
そのまま空気圧をホイールに記載されている最大程度にし、一日程度そのままにして置くのが望ましいです。
余分なシーラントはしっかり拭き取り完了です。
空気圧はホイールに記載されている場合もあるのでご注意ください。
この時点でビード部から多少の漏れがあっても、シーラントが塞いでくれます。
どうしても空気が抜けてしまい、一気に空気を入れたい場合は下記のようなアイテムもあります。

まとめ
チューブレスレディ化させるに辺り、ほとんどの方はシーラントを入れた後のビード上げで苦労することが多いようです。
ビード上げには携帯ボンベやコンプレッサー等で一気に空気入れを入れなければいけないと思われている節もあり、コンプレッサー等の設備がない家庭ではそもそもできないと思われたりしています。
確かに、ホイールやタイヤとのマッチングによっては難しいケースもありますが、上記手順を一つ一つ行っていけば、今お使いのフロアポンプでもチューブレスレディ化は難しくないと思います。
特に重要なカギは意外にも「フィッティングローション(石鹸水)」で、何度やっても空気がビード部から抜けてしまう場合は、タイヤ全周に渡ってしっかり塗り、お試しください。
(シーラントが多少石鹸水で薄められてしまっても機能上はほとんど問題になりません)
チューブレス専用ではないクリンチャーホイールを無理やりチューブレス化してみました。
TEXT:toby