前号で試作の第2弾発表!と豪語してしまったのですが、今回はちょっとした焦らしということで中休み。
88サイクルたらしめる重要な要素であるカゴにフォーカスします!荷台がさらけ出されているピックアップトラックに準じた、ロングベッドのカゴのプロトタイプがいよいよ出来上がったのです!
この写真はあくまで妄想。色々なものをガツガツ乗っけてカゴすらも楽しんじゃおう!っていう体で、ホームセンターにてカメラマンと買いあさってきたもの+編集部内にあった小道具をとにかく目いっぱい乗せてみました(笑)。植物に砂にじょうろ、ティッシュペーパーにバゲッドを背負ったトラックのミニカー。全く意味はないけど楽しそうでしょ?
パパチャリは近年、次第に認知されてきた言葉なのですが、「子乗せを搭載したお父さんが乗る自転車」というとっても広い意味で捉えられています。調べてみると形は様々で、クルーザータイプのもの、MTBをベースにしたもの、車高が低いカーゴバイクタイプのもの等、乗り手であるお父さんの好みの自転車に子乗せが載せられるようカスタムしているものがほとんど。つまり、ズバリこれ!というものをまだあまり見かけないのが現状です。それぞれとても個性的で格好良く、先に挙げた定義の第1~3条は間違いなく満たしていると思います。
我々がまず悩んだのは第4条、格好良さを確保しながら利便性と乗りやすさを両立させることでした。ママチャリの良い点はトップチューブが下がっているので、スカートを履いている女性、あるいはちょっとお腹が出てしまったお父さんでも跨ぎやすい点。一方、スポーツタイプの自転車の場合、強くペダルをキック出来るようシート高は高くなり、トップチューブが地面と水平になっていることが多い。そのため、子乗せを搭載出来たとしても跨ぐ際の蹴り上げで子どもに脚が当たってしまうかもしれない。どちらも一長一短だけど、我々が選んだのは前者。第6条のカスタムというポイントを残すという意味でも、普遍的なママチャリのシルエットを残し、スポーティさよりも誰でも乗れて使える便利さを重視しました。クルマに例えるなら、初速がむちゃくちゃ速いスーパーカーではなく、じわっとパワーが出て平坦な道も坂道もググッと前に進んでくれる、安心感が高いピックアップトラックのようなイメージ。そんな自転車があったら……という夢物語のような想像を具現化させるプロジェクトなのです。
そんなこんなで、前号では自転車本体のプロトタイプのシルエットをお見せしたわけなんですが、おさらいはここまでにして、ここからが今回の本題です。先に書いた通り、イメージはピックアップトラックなわけなんですが、“じわっとパワーが出て平坦な道も坂道もググッと進んでくれるような”というポイント、堅牢さを謳うのであれば“SUVをイメージした”と言っても良いじゃん? と突っ込みをもらいそうなところ。ここで、88サイクルたらしめる第5条「たくさん荷物が積めること」がカギになってきます。当然、SUVでも荷物はいっぱい積むことができます。でもハッチを開けないと荷物が積めないSUVより、色んな荷物をガツガツ積めるピックアップトラックの方が圧倒的に相応しいと思うのです。
88サイクルにはオプションとしてリアキャリアに設置するカゴを用意する予定です。格好良さを重視するためにママチャリでよく見かける網状のカゴではなく(あれはあれですごく便利なんだけど……)、ピックアップトラックの荷台をイメージした柵で囲ったデザイン。現状はまだプロトタイプですが、右ページの上に掲載しているものが設置したイメージになります。大きさは全長550×全幅350×全高150㎜。軽量で長くて広いロングベッドが出来上がりました。
ここに何を積むか。それは乗り手方次第になってきますが、っていうかホント何でも良いんです。極論を言ってしまえば、何も乗せずにそのシルエットを楽しむのでもイイかもしれない。でもせっかくだし、色々とガツガツ積んで欲しい。というわけで、今回は2つのシーンを想定してみました。
夕暮れ時、会社を出ようかと思ったら奥さんから一本の電話「私、今日残業で帰りが遅くなりそうなの」。よっしゃ!んじゃあ俺が晩御飯を作ってやろうじゃないの!と意気込んで色々買い過ぎたお父さん仕様(笑)。
最初はビジネスマンのお父さんの帰り道。自転車通勤をしているお父さんが奥さんに買い物を頼まれてそれを積んでいるところです。仕事で使うバッグ、食材が入った買い物袋、お米等々、両手やママチャリのカゴだけじゃあ容量不足だけど、このカゴだったらかなり積めちゃいます。
「あとで応援に行くからな!」息子が野球の試合に出かけたあと、奥さんと準備。お弁当は任せてシートや飲み物類はお父さんが用意。クーラーボックスに氷、飲み物を入れたままカゴに乗っけちゃいました仕様。
次は休日。家族で近所の河原に行く、もしくは子どもが入団している少年野球の応援にでも行こうかっていう設定。ベンチやシート、飲み物はキンキンに冷やしておけるようクーラーボックスごとドカッと乗っけちゃう。カゴつきの88サイクルが数台あれば、サイクリングがてらのキャンプだって自転車だけで行けちゃうかもしれません。
あとはこのカゴも車体も自己流に格好良くアレンジしてもらいたい。
第6条の「お父さんがカスタムを楽しめること」を満たしてこその88サイクルなのです。
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