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メニュークリックで該当箇所までスクロールできますチェーンの動きの違いとは?実験してみました。
自転車のチェーンは、千円程度の物から、高いものなら2万円近くするものまで。
同じ動力を地面に伝えるという仕事は変わらないのに、ここまで差が出るのには、一般的には変速性能や重量、デザイン(色)、耐久性(耐摩耗性)、機能性などで違いがあるから。そのどれもを求めると、当然高くなる傾向にあります。
その点やはりシマノは素晴らしく、変速性能や、耐久性を考えた、非常にコストパフォーマンスに優れた製品を出してくれています。
例えば、変速性能(レスポンス)、摩擦低減に影響を与えそうなチェーンの「動き」にフォーカスして実験してみました。
この動画では、チェーンの上部を固定し、同じ高さから手を離した時の「動き」を観察しました。
■事前準備
チェーンはウェスで表面をきれいにした後、1ピンずつにドライルブをつけて、なるべく差が出ないように留意しました。
チェーンの動きの違いとは?結果発表
■結果
左:ワイパーマン CONNEX 11SO chain 11Sチェーン シマノ/SRAM/カンパ11速対応チェーン
中央:シマノ CN-HG601 シルテック
右:シマノ CN-HG5701(旧105)


動画では入れていませんが、KMCのX11.93もテストに加えています。
「動き」で言えばシマノが一番です。プレートだけとは言え、シルテックは伊達ではないのがわかります。
意外にも、CN-HG5701もいい動きをしています。
順序としては、わずかですが、下記の順番で動き続けました。
シマノ CN-HG601 シルテック
↓
シマノ CN-HG5701(旧105)
↓
KMC X11.93
↓
ワイパーマン CONNEX 11SO chain
今回、CN-HG601という、インナープレートのみシルテック採用のチェーンです。
これが、CN-HG901だったら、プレート及びローラー部までシルテック加工なのでもっと差が出ていたでしょう。
コストパフォーマンスを求めるならシマノ一択と言ってもいいでしょう。

別の要素でも比較
しかし、これが乗っていて体感できるのか?
そしてまた別の側面「軽さ」という面で比べてしまうとまた別のモデルが一番となります。
今度は「軽さ」一番が「変速性能」でも一番か?と聞かれると、そうでもなかったりします。
逆にチェーンの剛性感が減り、通常のチェーンなら「ガチャ」と切り替わるのに対して、「ヌチャ」と切り替わり、変速時間は変わらなくても、なんとなく違和感を感じたり、使いにくさを感じるチェーンもあります。重量のあるチェーンのメリットもある訳です。
ここはなかなか数値では表せない部分なので難しいのですが。。
また見方を変えて、機能性に優れたチェーンもあります。
その代表例として、チェーンカッターを使わずにつないだりできるチェーンです。
現在メジャー所ではKMC ミッシングリンクですが、シマノのクイックリンク、ワイパーマンのコネックスリンクも復活しました。
2017年12月より、シマノ製も3から5回(最大)まで取付け・取り外しが可能になった、新仕様のミッシングリンク。
新仕様では、シマノ・SRAM・KMCの11スピードチェーンに対応(カンパ非対応です)しています。

このチェーンを取り外しできるメリットとして、メンテナンスや掃除が一番に挙げられます。
ということは本来は、11速以下のリユース可能なモデルを除き、掃除の度に外すような代物ではなく、出先でのトラブル対策のためにあります。
ただ、注意しないいけないのは、このトラブル時も、ミッシングリンク単体で持っていてはほとんど意味がなく、チェーンカッターも併せて必要になります。
携帯型のチェーンカッターは非常に力がいることが多く、現場で慌てないため、十分に練習しておくことをおすすめします。

取り付けしてリンクをはめる際は、ペダルに体重をかけてはめ込む方法がありますが、初めての方では難しいです。(踏み込んだ瞬間できちんとはまっていなくて、チェーンが飛ぶことも・・・)
取付時、取り外し時にも工具は基本必要なので、ミッシングリンクを購入したら、併せて専用工具もお求めください。

工具があれば、付け外しはすごく簡単です。
何度も付け外しをするならワイパーマン一択
11速で何度でも取り外しが可能なチェーンをお探しなら、ワイパーマンのコネックスチェーン(コネックスリンク)です。
このワイパーマンのコネックスチェーンを少し説明させていただくと、ドイツのハーゲンで1893年に産声を上げた、自転車業界でも老舗中の老舗メーカーです。
鋼材からチェーンを製造し、ヨーロッパでは実戦レースでも積極的に採用され、その機能性と性能が証明されています。
何より初めてでも工具不要で作業が可能です。
重ねてリンクをはめたら、クイッと動かすだけで簡単にリンクが装着可能。取り外しの際も手作業で工具不要で着脱が可能です。
これにより出先でも簡単に装着が可能です。
左:KMC ミッシングリンク 右:ワイパーマン コネックスリンク
KMCがバチッとかなりの力で固定させるのに対して、ワイパーマンは留める構造を工夫しており、ヌルッと滑るようにはまっていきます。
KMCは何度も付け外しをすると、リンクの角が削られていき、緩くなってしまうので何度も付け外しは推奨できないのです。
ワイパーマンは複数回使用できるため、最初にチェーンの長さ調整さえしてしまえば、チェーンメンテナンスのときに外して各部を掃除できるなど、取り外せることによるメリットは大きいです。
こういった、ディレーラープーリーに堆積されるカスもチェーンを外せると掃除がしやすくなります。
灯油でチェーンを綺麗にする派の方もこのチェーンですね!
ここまで読んでいて、みなさん疑問が湧き起こっていると思います。
シマノチェーンに、ワイパーマンのコネックスリンクだけインストールできるのか?
結論は11速のシマノチェーン(CN-HG701-11)では、リンクに挿す穴のピッチが違い(チェーン側が狭い)、使用することができません。
シマノチェーンにインストールをしようとお考えの方は注意が必要です。
(11速以下の使用可否についてはお答えができません。)
「取り外しが容易」なだけじゃないワイパーマン
コネックスリンクというと、取り外しが優れている所にまず着眼点が行きますが、変速性能も他社メーカーと比べて素晴らしいです。
ここはかなり重要ですよね。
もちろん、カンパ、スラム、シマノとメーカーが異なっていても対応しています。
なお、私がワイパーマンにした理由として、普段のライドで、チェーンカッターまでは持ち歩くようにしていますが、KMCミッシングリンクの工具まで持ち歩く気にはならなかったのと、新車購入時についていたKMCの変速した際の収まりの悪い感じが気になってしまい変更しました。
信号待ちからの、周りの交通に合わせて、割と急な加速をする際に、なんか気になってしまい・・・。(変速に問題はないので、完全に好みです。)
後日、動画で両者の変速を比べてみましたが、漕いだ時は違うのに、動画上では違いがわかりませんでした。
わずかな差でも、乗っているとストレスになるもの。
同じ長さにした際の、KMCとワイパーマンの重量差です。
KMCは234g
ワイパーマンは241g
と、わずかな差ですがKMCの方が軽い。
この重量差なら、ストレスが軽い方を優先します。
まとめ
シマノのコンポーネントならやはりシマノ製のチェーンを選ぶのがベストでしょう。
(シマノとKMCが例え同じ工場で作っていたとしても、管理や製造方法には違いがありますからね。)
今まで他メーカーチェーンを使用していて、なんとなく変速がおかしい・・・といった場合でも、チェーンをシマノ製にするだけで劇的によくなることがあります。
しかし、出先のトラブルや、頻繁にチェーンを外してメンテナンスしたい方は各社から出ているコネクトチェーンが最適になるでしょう。
市場によく出回っているコネクトチェーンではやはりKMCのミッシングリンクですが、11速に使う場合は基本的に再利用できないのでよく考える必要があります。
いやいや、それでもルックスが一番!カラーチェーンでしょ!という方も、それでモチベーションが上がるなら、それはそれでその人にとっては間違いのない選択かと思います。
結局の所、チェーンも自分の優先することと予算を天秤にかけてお決めください。
ただ、変速性能で見ても、ワイパーマンは後悔のない選択かと思います。
TEXT:toby