ボトムブラケットの種類
自転車の中心に位置するパーツ、BB(ボトムブラケット)
BBのサイズと種類の選び方をご紹介します。
まずはサイズです。フレームによって、BBのサイズが決まります。
シェル幅の種類
以前であれば、68mmか、70mmかの二択でしたが、現在はBBのシェル幅に様々なサイズが出てきています。ここでは従来の2サイズをメインに話を進めます。シェル幅が68mmか70mmかでねじ山のサイズがほぼ決まります。
68mm
「JIS(日本工業規格)」 または、「BSC/BSA(イギリスの工業規格)」 といいます。自転車の部品のネジの規格は、各国共通の『ISO規格』で統一されている物と、先の『ITA・イタリアン』など一部の規格が混在しております。
日本国内メーカー及び生産分につきましては、ISO・JIS規格に基づいて設計されております。 サイズ表記の『BSC/BSA/JIS』につきましては、規格が同一となっております。厳密にはこれ以外にも自転車の盛んな国の老舗メーカーが、旧来の規格を使用したフレームやパーツが存在します。
最大手のシマノでは 『ISO/JIS/BSC/BSA規格』 を基準にしており、現在の世界的普及率を誇ります。通常ねじ山は 「右に回すと締まる」 ものですが、「右ワンが逆ネジ(左に回すと締まる)」なのが特徴です。
70mm
イタリアの「カンパ ニョーロ」では、ヨーロッパに多い『ITA・イタリアン規格』をメインに製造を続けております。ワンのねじ山は、左右ともに 「右に回すと締まる」 です。68mmのワンよりも若干大きめです。
なお、68mm70mmという違いは、あくまでもロードレーサーなどの規格が主で、MTBやクロスバイクはほぼ100%後者の『ISO/JIS/BSC/BSA規格』となります。
その他
BBの規格には現在18サイズあり、シェル幅もそれによって多岐に渡ります。上記規格に沿わない場合、メーカーに確認をするか、最下部に掲載したデーターを参考にノギスで実車を計測してご確認ください。
嵌合-かんごう-方法
クランクと接触する部分の形状(嵌合方法)でBBの種類が変わってきます。BBはクランクとセットのため、クランクもBBの種類に合わせたものが必要です。嵌合方法には、大きく分けて2種類あります。
- スレッド(THREAD:ネジ)タイプ
- プレス(PRESS:圧入)タイプ
スクエアーテーパー [四角軸] (シマノ・スギノ・タンゲ・カンパニョーロ)
古くからあるタイプで、軸長・シェル幅のサイズも豊富です。カートリッジタイプの製品や、カップ&コーンの 製品などもあります。低いグレードのBBだと、左側のワンが樹脂製のため、割れ安くなっています。それほど価格差もありませんので、アルミ製のワンのついたタイプがおすすめです。着脱を繰り返すと、アルミのクランクにクロモリのBBシャフトが食い込み、チェーンラインがずれることがあります。シマノでは、次の8セレーションタイプにする事でそれを解決しています。シマノ・スギノ・ストロングライト・タンゲ・カンパニョーロ等から発売されております。カンパニョーロとそれ以外では、見た目ではわかりませんが、傾斜角度が異なり、互換性はありません。
オクタリンク (シマノ)
スクエアーテーパーよりも剛性を高めようとシマノが開発したタイプです。シャフト軸が太くなり、クランクとの接触面積が増えること(8セレーション)で、剛性が高まりました。現在はホローテックタイプに移行し、ほぼ見かけなくなりました。
ISIS [アイエスアイエス](FSA)
シマノのオクタリンクに対向する形で登場したタイプ。FSA・ストロングライト・KCNCなどから発売されております。シマノのオクタリンクは8セレーションですが、10セレーションです。
FSAではパワードライブという名称ですが、基本的な構造は同じです。また、トゥルバティブというメーカーでは「パワースプライン」という12セレーションのBBを発売していました。オクタリンク・ISIS・パワースプラインの間で互換性は、当然ながらありません。
ホローテックII(シマノ)
オクタリンクよりもっと剛性を高めるためにシマノが開発したBB。BBのベアリングが、BBシェルの外側に位置することで、BBシャフトを保持する間隔が広くなり、剛性が高まりました。またBBシャフトが右クランクに予め嵌合されており、剛性が高まっております。シャフト径は24mmです。
工具を掛ける部分の外径が3種類あります。
- 従来からロード/MTBでラインアップされる通常のホローテックII用BB(外径は最も大きい)
- 外径が最も小さいSM-BB9000(DURA-ACEグレード)
- 外径が中サイズのSM-BBR60(ULTEGRA、105)
DURA-ACEグレードのSM-BB9000は最も外径が小さく、通常のホローテックII用のBB工具とBB付属のアダプター(TL-FC24)を組み合わせて使用します。小さいサイズに合わせて、アダプターが不要なSM-BB9000専用サイズの工具もあります。
ULTEGRA、105グレードのSM-BBR60は通常のホローテックII用のBBとSM-BB9000の間の大きさです。通常のホローテックII用のBB工具とBB付属のアダプター(TL-FC25)を組み合わせて使用します。こちらも、中サイズの大きさに合わせたアダプター不要の専用工具があります。
パワートルク(カンパニョーロ)
クランク側(ドライブトレイン)のベアリングはクランクの軸にあり、反対側はカップを圧入して取付するタイプのBBです。クランクのシャフトはシマノ同様一本の軸です。
ウルトラトルク (カンパニョーロ)
シマノのホローテックIIのすぐ後にカンパニョーロが発売したBB。BBの間隔を広げて剛性を確保する考え方はシマノと同じですが、BBシャフトが左右ともクランクに予め嵌合されています。しかしBBシャフトが真ん中で分割されており、太いボルト(工具は10mmのロングタイプのアーレンキーを使用)で固定します。
MegaExo [メガエクソ] (FSA)
FSAがシマノのホローテックIIに対抗して開発したBB。構造的にはホローテックIIとほぼ同じです。
アクティブリンク (ストロングライト)
ストロングライトがシマノのホローテックIIに対抗して開発したBB。構造的にはホローテックIIとほぼ同じです。
BB30 [ビービーサーティ]
BB30はキャノンデールが数十年前から取り入れ、普及した規格。その名のとおり、シャフトの太さが30mmと太く、BBからねじ山を排除し、ベアリングをBB内(BBシェル幅68mm)に圧入(ヘッドパーツを圧入する感じ)してしまおうというものです。
ホローテックIIに比べると、BBが外から見えない分、スッキリとしています。Qファクターも小さく出来ます。問題は、整備性がスレッドタイプと比べて少し悪いこと。構造的に、クランクに力が加わるとよじれたりしてフレームとベアリングに隙間が発生します。また、取り付けたり外したりすることでもベアリングとフレームとの間に隙間が発生し、異音の原因にもなります。フレームの精度が非常に重要です。
PF30及びその他プレス式BB
BB30は直接ベアリングをフレームに圧入しますが、PF30規格はカートリッジを圧入します。フレームの内径がBB30よりも大きくなっています。BB30と同じように、構造的に付けたり、取り外したりを繰り返すと、BBとフレームとの間に隙間も生じやすく、それが異音の原因にもなります。
それを解消させたのが、トライピークのスレッド(ネジ)タイプのプレスフィットBBです。クランクに力が加わってもよじれたりしにくく、パワーロスとフレームへのダメージを軽減してくれます。プレス式BBは、インテグラルヘッドパーツが出始めた頃のように、規格乱立しており未だに定まりません。