自転車チューブの種類と選び方
バルブの種類
自転車のバルブには3種類あります。それぞれ特徴があり、自転車の種類や目的によって使い分けられています。-
英式バルブ(ウッズ、ダンロップ)
主にシティサイクルに採用
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仏式バルブ(フレンチ、プレスタ)
スポーツ車全般に多く採用
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米式バルブ(アメリカン、シュレッダー)
一部MTBやBMXに採用
英式バルブ

シティサイクル(ママチャリ、軽快車)に使われるタイプで、日本人には一番馴染みの深いタイプ。
一般的に、「自転車の空気入れの形」のイメージはこのタイプとなります。
高い空気圧を入れることはできず、空気を入れた後の空気圧の微調整や計測もできません。
そのため、高い空気圧を必要とするロードバイクには向きません。

バルブの中には、「バルブコア(通称:虫ゴム)」といわれるものが入っており、1年程度で劣化してきます。
虫ゴムが破れると、空気が漏れてしまいます。
上の画像の状態になってしまったら交換が必要です。一番右の状態では、全く空気が入りません。
虫ゴムの交換方法についてはこちらでご紹介しています。
キャップは必ずつけておいてください。キャップが無いと虫ゴムが空気に触れるため、劣化が早まります。少しのことですが、バルブの寿命を延ばすことになります。
長所
- 国内で最も普及しているため、補修や関連パーツの入手も容易
短所
- 構造上、空気が漏れやすい
- 空気圧の調節が困難
- 空気圧の計測ができない
- 虫ゴム(バルブコア)が1年程度で劣化するので、定期的な交換が必要
仏式バルブ

スポーツ車用のバルブといえばこのバルブ。
ロードバイクだとほぼ100%これが付いているでしょう。
高い空気圧に耐えることができ、空気を入れた後も空気圧の微調整が可能です。 英式バルブと異なり、空気圧を測ることが可能です。
また仏式バルブは英式バルブの虫ゴムと異なり、バルブ内部には弁が内蔵されており、先端のバルブコア軸を押し込むことで、容易に空気圧の微調整ができます。走行目的や路面の状況に応じて空気圧を調節したい場合に適しているバルブです。
英式バルブ対応の空気入れだと高圧まで対応していない場合があり、その場合は空気入れごと買い替える必要があります。
口金だけなら、英式→仏式、米式→仏式に変換するアダプタがあるため、必要に応じて揃えておくと万が一の際に安心です。
筒の部分に 「ネジ」 が付いているタイプと、付いていないタイプがあります。
チューブラータイヤの仏式バルブはこのネジ山の無いタイプです。
ヴィットリアのチューブもこのネジ山の無いタイプです。
ネジ山のあるものよりも若干細くなるのと、空気入れのパッキンとの摩擦が少なくなるため、空気入れによっては入れられない場合があります。
その場合、どちらも不良品というわけではなく、ヒラメのポンプヘッドなど、バルブ本体と強く固定させるポンプをお試しください。
チューブラータイヤ・チューブレスタイヤのバルブも、この仏式です。
背の高いリム(ディープリム)に対応した、「ロングバルブ」タイプも有ります。ロングの具合は、51mm 60mmというように、mmで表現します。「延長バルブ」と言われる、バルブアダプターで長くすることも可能です。
長所
- バルブ自体が軽量で高圧に耐えられる
- 空気圧の調整がしやすい
- 空気圧の計測ができる
短所
- シティサイクルなどに採用される英式バルブ用の空気入れでは入れられない
- 空気入れの際、ラフに扱うとバルブコアを破損させてしまう恐れがある
米式バルブ

一部マウンテンバイクや、BMXに使用されます。太くて頑丈です。
バイクや、車と同じタイプなので、空気入れがない場合はガソリンスタンドなどでも空気を入れることができます。
構造がカンタンで、空気漏れも少ないタイプです。空気を入れた後も、仏式程ではありませんが、空気圧の微調整が可能です。
リム側にバルブを通す穴が、英式と米式は同じ大きさです。(仏式は一回り小さくなります。)
なので、チューブ交換の際はどちらも互換性があります。
英式/米式のリムに仏式を入れる場合は、スペーサーを使用することで可能となります(スペーサーを取り付けるには、バルブにネジきりがある必要があります)。逆はできません。
長所
- 空気が漏れにくい
- 耐久性が高い
- 空気圧の調整がしやすい
- 空気圧の計測ができる
短所
- シティサイクルなどに採用される英式バルブ用の空気入れでは入れられない
- 丈夫な反面、重量がある
チューブの素材と厚みについて
シティサイクルから、競技車用の自転車まで、広く使用されているのがブチルと呼ばれるゴムです。耐久性も高く、厚みによって、軽量なものから強度重視のものがリリースされています。
■軽量なもので、厚みが0.45mm位
■一般的なもので、厚みが0.95mm位
■強度重視のもので、厚みが1.2mm位 となっています。
時々、下記のようなご質問をいただくことがあります。
「チューブをタイヤに入れ る前に空気を入れてみたところ、空気の膨らみ方が均一でなかった。不良品でしょうか?」
軽量化のため薄く作られたチューブは、肉厚が完全に均等ではありません。タイヤに入れない状態で空気を入れると、すこしでも薄い部分が集中して膨らんでしまいます。しかしながらこれだけでは不良品とは判断できません。
チューブはタイヤの中で膨らむものです。そのときごくわずかな肉厚の違いは、走行性能上影響ありません。
また、パンク箇所を探すときや、最初にタイヤに入れるときなど、あまり膨らまし過ぎないようにしてください。