フロントディレイラーワイヤーの交換と調整
【動画解説】フロントディレーラーワイヤー交換と調整
メンテナンス工具
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4.5mm六角レンチ
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プラスドライバー
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ペンチ
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オイル
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ワイヤーカッター
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トルクレンチ
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ウエス
事前確認事項
※インナーケーブルのかしめ痕や状態を確認し、サビ、摩耗、ほつれ等があれば交換します。
※「かしめ痕」がワイヤ固定部よりレバー側にある場合は、シフトした際に断裂するおそれがあるため、交換をしてください
ワイヤー固定ボルトを緩める
変速をトップ(一番重いギア)に入れ、インナーキャップを外し、フロントディレイラーのインナーケーブル固定ボルトを緩めてケーブルを外します。
インナーワイヤーの抜き取り
インナーケーブルをインナーキャップ直前で切り、シフターからインナーケーブルを抜き取ります。画像のモデルはシマノSORAグレード(ST-3500)です。レバーを握り、隙間からワイヤーを抜き取ります。お使いの変速機によって異なります。
MTBやクロスバイクに採用されるラピッドファイヤーシリーズでは、レバーのグリップ側に付いているふたをプラスドライバーで外し、レバーを抜き取ります。
アウターケーシングのセット
アウターケーシングを適切な長さにカットして、オイルをさします。
※シリコングリス充填済みのアウターケーシングの場合は不要
基本的には、前回と同じ長さにすればいいのですが、ハンドルの位置や高さを変えた際は改めて適切な長さにします。
アウターケーシングを切断する時は、刻印の付いた端部の反対側の端部を切断します。
アウターケーシングの切断後、切断面を真円に整えてください。
これは短い例。 アウターケーブルがカツカツになっています。
これは長い例。大きくケーブルが弧を描いてしまっています。
ハンドルを切った状態で、フレームとケーブルの間に小指一本分の隙間が出る位で丁度良いです。
アウターケーシングの長さが決まったら、両端にアウターキャップを着けておきます。
フロントディレイラーの位置確認
チェーンガイド外プレートを手でアウターチェーンリングまで引きつけます。チェーンガイド外プレート下端とギア先端との間隔が1~3mm程度ある事を確認します。ずれている場合はバンドのネジを緩めて調整後、再度固定します。
バンド固定する際のトルクは5 - 7 N·mです。
※リアサスペンション付自転車の場合は、降車状態と乗車状態で位置が異なる場合がございます。取付けと調整は乗車状態で行ってください。
チェーンガイドの高さ調整後、真上から見てチェーンガイド外プレートの平らな部分がチェーンリングと平行なっているか確認します。ずれている場合は画像のネジで調整します。この作業は高さ調整行程と同時に行うようにします。
ロー側の調整
チェーンとチェーンガイド内側との隙間を0~0.5mm程度にする為(太線部)リミットスクリューLOW側で調整します。(クランクをまわしてチェーンが擦れる場合はもう少し隙間をあけます)
インナーケーブルを入れます
新しいインナーケーブル通していきます。(新しく通したワイヤーは地面に着かないように注意しましょう。)
フロントシフターのアジャストボルトを全閉から2回転させ、アウターケーブルをアジャストボルト部に入れ、インナーケーブルを通します。ワイヤーがフレームの中を通るインターナルルーティングフレームの場合は、別途インラインアジャスターをはめてからインナーケーブルをいれます。
インナーケーブルを固定
インナーケーブルをBB下のガイドに通し、引っ張りながらインナーケーブル連結ボルトを締めて固定し、ケーブルを切断します。
初期伸び取り
アウターワイヤーをひっぱり、初期伸びをとります。
ケーブルの初期の伸びを取った後、フロントディレイラーに固定し直します。インナーケーブルの固定トルクは5 - 7 N·mです。
※ケーブルによっても異なります。
アウターギアに変速させます
クランクをまわし、アウターギアに変速します。アウターギアに入らない場合は、シフターのアジャストボルトでワイヤー張ります。それでも改善しない場合はトップ側調整ボルトを反時計回りに回します。
トップ側の調整
リア側をトップギア(最小ギア)に変速させます。チェーンとチェーンガイド外側との隙間を0~0.5mm程度にする為リミットスクリューのHIGH側(Hと刻印)で調整します。
HIGH側調整ネジで調整しても、チェーンとチェーンガイド外側が当たる場合は、ケーブルの張りが十分ではないため、アジャストボルト、又はインラインアジャスターを1から2回転させます。
ロー側の調整
リア側をローギア(最大ギヤ)に変速させます。トリム操作後、チェーンとチェーンガイドの隙間をケーブルアジャストボルトで最小(0~0.5mm)に調整してください
なお、トリム操作とは、フロント側の変速機にだけついている機能で、ギアが切り替わらない位の力で少しレバーを押し込むと、フロントディレイラーの位置が少しだけ変化します。例えば、フロントがインナー(最小ギア)の時にリアのギアがトップ付近に変速していくと、チェーンラインの都合からフロントディレイラーのプレートにチェーンが擦って音鳴りしてしまうことがあります。その際に、少しだけ変速機を移動させることによって、音鳴りを防ぐことができるのです。
最後にフロントディレイラー、リアディレイラーを変速させ、問題がないかを確認します。