【MiNERVA-asahi】起伏のある一般公道レースをどう攻略する⁉︎ 第19回JBCF石川サイクルロードレース

2021.07.16

第19回JBCF石川サイクルロードレースレポート

7月11日(日)、福島県の石川町・浅川町周回コース(1周13.6km)で行われた「第19回石川サイクルロードレース」に、あさひ公式レーシングチーム「MiNERVA-asahi」が参戦しました。
※自転車レース特有のルールや用語はこちらでご説明しています。

今回のレースには、E1クラスタに川勝選手、古川選手の2名。E2クラスタには布田選手。E3クラスタには小林選手、常富選手、三浦選手、結城選手の4名。合計7名が参戦しました。

▶︎E1クラスタ
距離:13.6km x 5周 = 68km
スタート時刻:9時5分
参加者数:93名

▶︎E2クラスタ
距離:13.6km x 4周 = 54.4km
スタート時刻:11時15分
参加者数:68名

▶︎E3クラスタ
距離:13.6km x 4周 = 54.4km
スタート時刻:14時20分
参加者数:122名

起伏に富んだ一般公道コースをどう攻略する⁉︎

今回のレースは、福島県の石川町と浅川町内の一般公道を封鎖して設定された、1周13.6kmの周回コース。事前の資料などを見る限り、細かなアップダウンがあり勝負どころを見極めるのが難しいことが予測されました。

レース前日の土曜日は少し早めに会場に到着し、まずは車でコースを回って下見を行い、コースマップにポイントとなる箇所の注意点などを書き込みました。
そして、自転車でも実際に試走して斜度の感覚や上り坂の距離感を体で感じながらレースに備えます。

ポイントを書き込んだマップは、当日に会場入りするメンバーもいるので、チーム内で情報を共有するためにも重要になります。

※第19回JBCF石川サイクルロードレース テクニカルガイド参照

ゴール手前4km地点。90度に曲がる交差点を抜けると、少し長めの上りを含んだアップダウンが繰り返されます。
レース中盤では、この上りを集団のどの位置で走るか、そして最終回では、この上りで勝負をかけないと先頭でゴールすることが難しくなるでしょう。

また、スタート直後の上り、そこから続く長い下りでの位置どりだったりと、勝負どころになりそうなポイントが多くあり、様々なレースシミュレーションを考えながらレース当日に備えて作戦を練る必要があります。

選手によっては長い上りが得意だったり、短く斜度のきつい上りが得意だったり、平地のスピードレースが得意だったりと、脚質は様々。

それぞれが考えたレース展開と合わせて、是非レポートをご覧ください。

川勝選手レポート【E1/橿原葛本店勤務】

今回の石川町で開催されたレースのコースレイアウトは、スタートしてすぐに1分ほどの上りがあり、それを越えると3km下り、下った後はややきつめの上りを含むアップダウンを経て、また2km下り。最後に4kmの上りがある周回コース。上りが長く全体的に斜度は緩いこと、スタートからゴールまで2時間弱で終わる、自分にとっては得意な時間なので、明確に優勝を狙ってレースに臨んだ。

作戦はいつもと同じ。特に最後の上りでアタックがかかったり、ゴール前のスプリントになるとライバルの選手達の方が有利となり優勝することが厳しいので、それまでには集団から抜け出したい。

スタート後の上りが終わり下りきったところに鋭角なコーナーがあり、コーナーを曲がるとすぐにアップダウンが始まるため、コーナーで前の選手に離されないよう下りでは集団の前に位置どりたい。想定どおり最初の上りで先頭まであがり、下った後の鋭角コーナーは2番手で通過した。

1周目のゴール手前の上りでは集団は比較的ゆっくり進んでいく。上りとはいえドラフティングが効くので、集団内でを温存させる。

時々、アタックがかかるが、有力選手以外の動きは自然と集団が吸収するので、基本的に自分から追いかけることはしない。

レースが動いたのは雨が降り始めた2周目のゴール手前4kmの登り。集団内の人数を減らしたいのと、有力選手の調子を確認するために自分が先頭に出てペースを上げる。

この上りでハッキリしたのは、特に警戒していた米谷選手【たかだフレンドレーシング】と寺崎選手【バルバレーシングクラブ】が明らかに強いと言うこと。まともに戦って勝てる気がしなかった。

そして、この上りの終盤で福田選手【Team BFY Racing】がアタック。これにチームメイトの古川選手が反応しついていく。まわりはこの2人の逃げを容認し、この日初めて逃げが成立した。

米谷選手と古川選手は1周近く逃げていたが、3周目の完了時に古川選手だけが後方の集団に戻ってきた。古川選手に労いの言葉をかけると「(福田選手)まじつええ」とのこと。福田選手は前日に同じ石川町で開催されたクリテリウムで優勝していて、コンディションは良さそう。

ここからは、自分も逃げ出した福田選手の追走するためを使う。福田選手と自分のいる後続集団とのタイム差は最大1分5秒。下りは雨で路面がウェットのため、また上りでは登坂力にバラつきが出るため、追いかけている集団もなかなかスピードが上がらない。

単独で逃げている福田選手とは1分のタイム差が空いたまま4周目の後半登りへ。今度は後続集団の中で登坂力が抜けていた米谷選手が単独でアタックする。集団内では自分も含めて誰もこのアタックに反応できない。最終周回の5周目に突入した時点で先頭は変わらず、福田選手(単独)→約30秒後ろに米谷選手(単独)→さらに約30秒後ろにメイン集団という状況。

なんとか、この状況を打開するために平坦区間で米谷選手との差をやや詰めてから、上りに入ったところでアタックし米谷選手にブリッジを試みる。上りの途中で自分はやや失速してしまったが、後ろから同じく追いかけてきていた寺崎選手がスピードを落とさずに先に上りきる。かなり苦しかったがギリギリ寺崎選手に喰らいつく。後ろからは高岡選手【Roppongi Express】や数名のライダーもピタリとついてきている。

ここで前を走る米谷選手に集団が追いついた。そのまま下りでもスピードを上げる。下りでは米谷選手と自分がやや優勢。さらに前を走っていた福田選手との差も一気に縮まり、下りが終わりって鋭角コーナーを過ぎた後の上りで、ついに福田選手も吸収した。

残り10kmでレースは振り出しに。このとき集団内の人数は約20名。さらにアップダウン区間で石井選手【アーティファクトレーシングチーム】と塩澤選手【ORCA CYCLING TEAM】がアタックをかけるが決まらず。レースの残り距離は6km。2km下って4km上ればゴールとなる。

これまでの走りからも、やはり米谷選手と寺崎選手には、どうやっても登りで勝てそうにない。先頭に残ったとしてもゴール前のスプリントになれば、さらに勝機は少なくなる。

勝負を決めるには、この下りしかなかった。

下りで一気にスピードを上げて、先頭を追い越していく。この時のサイクルコンピューターに表示されていたスピードは時速74km。路面は変わらずウェットのままだが、今日の下りには自信があった。

そのまま単独で下りきり残り、ゴール手前4km地点の最後の上りへ突入する。後ろはまだ見えない。タイム差は30秒。行くしかない。後続の選手に捕まることは考えずに、全力でペダルを踏み続ける。

ゴールまでラスト200m。最後の右コーナーを慎重にクリアし、また後ろを振り返る。後続の寺崎選手がチラッと見えたが、まだ離れている。ここで勝利を確信。

ゴールラインで大きく両手を上げガッツポーズ。

今シーズン初、またE1クラスタとしても初めて優勝することができた。

 

チームのメンバーはもちろん、同じレースを走ったライバル達からも、たくさん祝福してもらった。最高の瞬間だった。

表彰台に登った選手達は、自分よりもはるかに強い選手ばかり。それでも勝てたのは、逃げ出したタイミングや天候、路面の状況など様々な要因が重なり合って掴んだ勝利だったと思う。

また、今回の勝因として大きかったのは3周目のチームメイトの古川選手の逃げ。また、今乗っているバイク【LOOK】の下り性能など、様々な要素が絡み合い、レースの展開次第では誰が勝ってもおかしくなかったが、今回は自分に“勝ち”が巡ってきました。まさにこれがロードレースの醍醐味かなと思います。

チームスタッフも含めて、チームメイトには感謝しかありません。チームで掴んだ勝利です。改めてロードレースは個人競技ではないと感じたレースでした。

最後に公道レースの開催にご協力いただいた、石川町や関係者の方々にも感謝いたします。

古川選手レポート【E1/三島店勤務】

先週の広島に引き続き、気温の高いレース。広島では脱水とオーバーヒートをした反省を活かし、数日前から栄養と水分補給には気を使っていた。

予報通り雨が降るかは微妙だったが、自分は雨のレースが好きなので、自分なりの雨乞いの儀式(バーテープを新品の白に換える)をしておいた。

ちなみに巻き替えた新品のバーテープは3TのPROを使用。丁度良いクッションに、食い付きすぎないグリップ、手頃な値段と巻き替えやすさがお気に入り。

今回のレースではパレード走行がなく、号砲と共にいきなりペースが上がる可能性を考慮してレース前には念入りにアップをしておいた。

マスドスタートで、集団の前に上がりにくい状態だったが、川勝選手がスルスルと上がっていくので、便乗して前方へあがる。落車リスクの回避、アタックへの反応など集団の前方に位置していた方が利点は多い。

スタート直後はかなり暑かったが、徐々に雨がぱらつき始め、快適な気温に。同時に集団内では「安全に行こう」という空気感が出ていたため、それを狙ってアタックする選手に合わせて、自分もアタック準備をしておいた。

2周目完了時、福田選手【Team BFY Racing】が集団から抜けでる。合わせて自分も集団から抜け出し2人で先行する。

しかし、相手が強すぎた。上りで千切られ半周ほどで単独走行に。後続集団から追走の選手が追い付いてきてくれるか、自ら後続の集団に戻るか迷っているうちに、後ろからきた後続集団に吸収される。そこからは、集団内で先頭交代に加わりつつも、なるべくを使わないよう心がけながら走行する。

最終周回、やや自分のが厳しい感覚がしてくるが、なんとか耐えた。そして、下りでチームメイトの川勝選手がアタックし、集団はこれを容認する。登りに入っても集団のペースはそこまで上がらなかった。

正直、この時点で川勝選手の勝利を確信していた。そのため、自分にできることは「今の集団内でトップを取ること!」と、気合を入れるが脚が攣ってしまった。結局、集団内の12位でゴールした。

せっかくチームメイトがアタックし、自分にスプリントしやすい展開にしてくれたのにスパートできなかったのが悔やまれる。

今シーズン前半戦が終わり暫くレースのない期間が続きますが、後半戦に向けてしっかりトレーニングで身体を作って行きますので、ご期待下さい!

今後も応援、よろしくお願いします。

布田選手レポート【E2/名取店勤務】

先週の広島から1週間後のレース。調子はあまり変わらずだが、広島のレースで刺激が入った分良くなっていることを少し期待。起伏があって自分には得意なコースなのでチャンスがあれば狙って行きたい。

レース序盤から集団の前方に位置取りしたかったが、下りで集団の後方にさがってしまい、上りで前方にあがる。その後も10位前後をキープしたまま周回を重ねていく。

上りも下りも集団のペースはあがらない。大きく逃げだす選手もなく、最終周回に入った時点でも30人以上の集団のままだった。

途中でペースを上げようか迷ったが、ゴール前のラスト4kmから始まる上りのためにを貯めておくことに集中。最終周回のアップダウン区間から徐々にスピードがあがり集団は縦長になるが、自分は5位くらいに付けていたので問題なし。ここまでは順調だ。

ラスト4kmの上りに入ってからも余裕を持って走れていたが、それは他の選手も同じだったようだ。

ゴール手前1km地点で3人の選手が抜け出したが、自分はこの逃げに反応できず、アタックした3人がそのまま逃げ切り、自分はトップの3人から4秒遅れの集団でゴールし、6位となりました。

先週の広島のレースで2位になり、E2に昇格後初のレースだったが、それを理由に消極的になってしまった。得意なコースだったので、積極的に動けば違った展開になっていかもと思う。しかし、ラスト1km地点のアタックに反応出来なかったのは完全に自分の脚力と練習不足。

次戦は新潟県南魚沼市で開催されるレースに出場を予定しています。今回と同じく得意なコースレイアウトなので、この夏にもう一度基礎から練習を積み、次戦でE1に昇格できるように頑張りたい。

小林選手レポート【E3/郡山富田店勤務】

コースはアップダウンが多く、最後に4㎞の登りがある周回レース。集団の真ん中より少し前でスタート。すぐに最初の上り区間に入る。ここで集団の後方にさがってしまうと、そこからの下りできつくなるので、全力で集団の前に上がる。

最初の上りを越えると下りに入り緩やかなコーナーがいくつか続くが、そこで後輪が軽くスリップしてしまった。それほど急なカーブでもないところでスリップするのは初めてで、危険を感じて下りを攻めきれず、安全を意識して集団の後方にさがってしまった。しかし、次の登りが始まると、また加速して集団に戻り、これを繰り返していたら2周目に入った時点で先頭集団に着いていけなくなりました。

ここからは第2集団を形成して残りの3周回を走り、27位でゴールしました。

先頭集団に1周目で着いていけなくなってしまい、自分の力不足を感じました。特に短時間で高強度の登り。ここを強化しないとレースでは勝てない。

次に出場予定の、8月末に福島県で開催される「小野こまちロード」と、9月に新潟県で行われる「JBCF南魚沼」に向けて、弱い部分の強化に努めたいと思います。

常富選手レポート【E3/静岡インター店勤務】

スタートの号砲と同時に、一斉に選手達が飛び出していく。しかし、自分はスタート時のクリートキャッチに失敗してしまい出遅れてしまった。

1周目からハイペースでレースが進んでいたこともあり、追いつく為にいきなりを使ってしまった。

ゴール手前4km地点の長い上り坂でも集団のペースは緩まず、そこで限界を迎えて早々に先頭集団についていくことができなくなりました。

2周目以降は、前の集団から遅れてきた選手7名と集団を作り、ローテーションしながら完走を目指すことに。足切りになることだけは避けたいので、積極的に前を引く。3周目の時点で先頭集団との差は約3分半ほど。しかし、3周目終了が近づいた時点で、とんでもないミスをしてしまう。

ゴール手前の分岐で誘導スタッフが黄色い旗を掲げているのが見え、何故かゴール側へハンドルをきってしまい「勘違いゴール」をしてしまった。

周囲の観客は「誘導ミスだ」とか言っていたが、本当のことはよく分からない。(今回のコースではゴールラインがスタートラインとは別の場所にあり、最終周回だけスタート地点の手前にあるゴールに向けたコースを右に曲がってゴールする設定となっていた。)

もちろん、この間に後ろを走っていた選手達は私を追い越して最終周回に入っていて、そこで完全に心が折れてしまってリタイヤしました。本当に情け無い結果に終わってしまった。

力不足はもちろんのこと、ミスをしてしまった詰めの甘さも大いに反省しなければならない。そして結果を出せていた昨年のコンディションを、まだ取り戻せていない。

そろそろ普段の仕事にも慣れてきた頃。次戦は9月の「JBCF南魚沼」に出場予定なので、これまで以上に練習に励みたいと思います。

三浦選手レポート【E3/清水草薙店勤務】

今回の石川町でのレースは、怪我から回復して一発目のレース。先頭集団内での完走を最低条件と意気込み参加しました。

E3のレースは他のクラスタに比べて出走人数が多く、すぐに有力選手達がレースのペースを上げて、力のない選手をふるいにかけることが予想された。中盤位置からスタートしたが、1周目のうちに先頭集団の後方に。予想通り先頭の周回タイムは早く、多くの選手が脱落していきました。

2周目は、集団内に多く残っている学生の選手などのアタックが数回あり、さらに集団の人数を減らしていく展開になりました。その時点で、自分は集団の後方に着いていくことしかできない状態でした。

3周目のスタートライン直後の直角コーナーを曲がり、斜度が5~6%の登りで1位と2位に入った選手達がアタックで抜け出し、後続集団に対して30~40秒のタイム差をキープしたまま最終周回まで走り切り、そのままゴールへ。

自分は2周目と同様に、後続集団の後方をついていく走りしか出来ず、集団の前で走ることが出来ませんでした。

最終周回の残り6~7km地点のアップダウンで自分は集団からも遅れ、そこからはゴールまで単独走行となり15位でゴールしました。

今回のレースでは序盤の展開を予想して、集団についていくという走り方は良いが、中盤以降の展開に加われないという情けない走り方から、実力不足が明確になりました。また、集団から抜け出した2選手の実力は、E3の中でも圧倒的だと分かっていながらも、その展開に加われずに機会を逃したことが反省点です。

次のレースはJBCF南魚沼大会に出場予定なので、課題を一つずつ潰していき、次戦でE2への昇格を目指してトレーニングに励みます。

結城選手レポート【E3/三鷹新川店勤務】

5月の群馬で開催されたレースの時に落車してから約1ヶ月半が経ち、今回が復帰戦。まずは安全に帰ることが最大の目標。

しかし、レース当日の天候は雨予報。滑って転ばないよう、気をつけながら上位を狙っていく。

危険を回避するためにも集団の前方で展開できるよう、スタートは最前列に陣取る。普段のレースではローリングスタートが多いが、今回は合図と同時に一斉にスタートするマスドスタートなので、いつも家でトレーニングに使っているZwiftみたいなスタート。

スタート後は、前回の群馬での落車がフラッシュバックしてしまい、集団での走行が怖くて怖くて仕方がない。

集団の中程で下りに入るも、怖くてコーナーの度に後ろに下がってしまう。そのまま、ズルズルと1周半走り途中でレースをリタイヤとなりました。

次戦まで、しばらく間が空くので毎日コツコツ練習を積み重ね、前を向けるよう頑張ります。

今はまだ優勝すると言えるようなメンタルではないですが、皆さんに喜んでいただけるようなレースが出来るように頑張りと思います。

シーズン前半戦を振り返って

これで今シーズン前半戦のレーススケジュールが終了しました。

今回のレースで、川勝選手の優勝や布田選手の入賞などチームメンバー全員が頑張って勝ち取ったポイントにより、MiNERVA-asahiもエリートクラスのチームランキングで、5位まであがることができました。(7月14日現在)

今年はオリンピックの開催もあり、次に参加予定レースの9月まで少し期間が空きます。

その間に各チームメンバーも前半戦を振り返えり、苦手な部分を強化すべくトレーニングに励み、後半戦も更に良い結果をレポートできるよう頑張ります。

引き続き、皆様からの応援をよろしくお願いいたします。