最速店長出場選手が解説。A1とSTRADAはこんな自転車。

2018.12.03

「あの時レースで使用していた自転車はなんですか?」

今年の9月に行われた全日本最速店長選手権。まだセミがじりじり鳴く蒸し暑い空気のなか、全国から集まった脚力に自信のある猛者たちが熱いレースを繰り広げました。

開催からすでに2か月経っておりますが、「あの時、あさひの選手がレースで使用していた自転車はなんですか?」なんてお声をいただきました。

2人の選手が使用していた自転車は、どちらもメーカーラインナップの中では特に上位グレードのフレームなので、店頭ではなかなか見ない代物。

ということで、選手たちが実際に自転車を使用した感想をほかのロードバイクの比較とともにお伝えさせていただきます!

 

原口選手使用車種 超本格派エアロロード GENNIX A1

おっとりした話口調の反面、粘り強い走りが印象的だったゼッケン30番原口選手。

彼が乗った車種はこちら

ガノー
GENNIX A1 FRAME KIT カーボンフレーム
詳細はこちら

GENNIX A1は、ガノーからフレームセットとして出ているエアロカーボンフレーム。TEAMプロのレースシーンで求められる空力効果を実現するため、カナダのケベック州にある大学と共同で研究を重ね、綿密なシミュレーションをもとに出来上がったのがGENNIX A1です。日本では自転車の強豪校である京都産業大学体育会自転車競技部が使用しており、数々の実績を残しています。

実際に原口選手がレースでGENNIX A1に乗った感想を聞いてみました。

Q. 試合でGENNIX A1を使用してみて、乗り心地はどうでしたか?
A. 私が普段乗っているロードバイクはパナソニックのクロモリ、通称パナモリと呼ばれるロードバイクで、しなやかな乗り心地が特徴の一台です。

対してGENNIX A1は極太のカーボンフレームなので、実際に試乗する前は「しなりが少なく、疲れやすいのではないか?」という印象をもっていました。

 
というのも、これまで何度か高剛性のフレームを試してみた際に、スプリントをかけた後に足が残らず、踏みなおすことができませんでした。
しかし、GENNIX A1は今まで乗った高剛性バイクと異なり、思ったよりも柔らかく乗りやすい印象でした。強く踏み込んだ際は瞬時に反応する印象はあまり感じなく、ほんの少し遅れてパワーロスの少ない加速感が得られたと思います。特性を理解してテンポよく踏めばとてもよく進むマシンだと思います。
長距離ライドで使用した後の疲れも少なくカーボンが適度に振動を吸収してくれているのだなぁと感じました。スプリントなどで強く車体をゆすった際はフロントが暴れる印象でしたが、それは僕のぺダリングスキルや抑え込むパワーが無かったと思います。

重量の面ではパナモリもA1も同じ7.6kgだったので登りの性能差は良い意味であまり差は感じられませんでしたが、平地ではさすがエアロロードといったところ。タイム計測はしていませんが、巡航スピードはプラス1Km/hは確実にありました。

Q. どんな人にこの自転車をおすすめしたいですか?
A. エアロフレーム特有の剛性に伴う脚への負担が少ないので、自分のように長くクロモリに乗っている方、少し前のアルミに長く乗っていた方など少し柔らかめなフレームが好みのライダーにオススメです!
平地やコーナリングの少ないコースではエアロの強みを大いに発揮してくれ、ぐいぐいと前に進む爽快感を与えてくれるフレームだと思います。
ちなみに、硬めなフレームが好みの方でもハンドルやステムを硬いもので組めばバランスの良いフレームになるかと思います。

中村選手使用車種 フロントシングル専用エアロDISCロード 3T STRADA TEAM

初の全日本最速店長選手権で見事4位入賞を果たしたゼッケン27番中村選手。
彼が乗った車種はこちら

3T
STRADA TEAM
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STRADA TEAMは究極のエアロダイナミクスを考えてフロントディレーラーを台座ごと排し、フロントシングルギアで走るレーシングバイク。こちらもフレームセットでの販売商品です。

実際に中村選手がレースでSTRADA TEAMに乗った感想を聞いてみました。

Q. 試合でSTRADA TEAMを使用してみて、乗り心地はどうでしたか?
A. 私が普段使用している愛車はCervelo(サーベロ)のS3というロードバイク。 

今回レースで使用したSTRADA TEAMはS3の使用感と感触が近く、レースのために乗り換えても大きな違和感は感じませんでした。

STRADA TEAMは究極のエアロダイナミクスを考えてフロントディレーラーを台座ごとなくし、フロントシングルギアで走るレーシングバイクです。

重量はレース時の仕様で7.8kg。愛車のCervelo S3がヒルクライム用に軽量化した時に7.8kgと同じ重量であったことを考えると、ディープリム・ディスクブレーキの重量増を考慮しても、フロントディレーラー、チェーンリング1枚分の重量減が数値となって表れています。

今回のレースで使用したギアは、フロント50T、リアは11-28Tの一般的な組み合わせを選択しました。

レースなのにフロントシングルで大丈夫なのか?と言う疑問を持つ人もいるかと思いますが、選ぶギアさえ間違えなければ全く問題はないと思います。
元々社内予選会では自分の愛車で出場しており、その時の構成は52-38×11-28でしたが、この構成でインナーギアを使用することは1度もなかったので軽いギアとしては十分に足り、重いギアにしても70km/hを超える速度で下る長い下り坂もありませんでした。

また、誤って操作をしてしまうことの不安やチェーン落ちの不安、トリム調整の煩わしさ等から解放されるなど変速を右手だけに集中させることができるメリットの多いギアであったと感じました。
もちろん、50T×11-28Tだけで全てのレースが賄えるわけではないと思います。たとえば鈴鹿サーキットの様なハイスピードコースであれば軽すぎ、アップダウンの多い道や激坂を含むトレーニングでインナーギアを使用する様なコースでは重すぎるかと思います。
しかしそんな時はスプロケット自体を交換し、トップ9Tのものを使用したり、ロー側34Tのものを使用する等することで、十分に対応をすることが可能です。
実際に私も11-34Tの組み合わせで、普段の大阪北摂のアップダウンの多い練習コースを走ったが、ギアは十分に足りました。
また、六甲山の様な激坂ヒルクライムであればフロントのチェーンリングを変えることでも対応は可能です。

1台につき全く同じセッティングでどんなフィールドも万能にこなすと言うことは当然難しいですが、狙ったシチュエーションに対して最適なセッティングを行うことで、どんなレース・ライドにおいてもフロントシングルの恩恵を最大限に享受できる1台。それがSTRADAであると私は考えます。

Q. どんな人にこの自転車をおすすめしたいですか?
A. 一つの目的のために、徹底的に無駄を排除するこだわる人にお勧めです。
フロントディレーラーとインナーギヤを排したことでエアロ効果を追求し徹底的に無駄を省いたフレームで、その時のライド、その時のレースに合わせて徹底的に特化したセッティングにできるのがこのフレームの最大の長所だと思います。
フィールド毎に最適化するには少し多くのパーツの準備が必要にはなりますが、その分だけ純粋に走ることに還元できるようになります。

また、操作や駆動パーツが少なく故障リスクが少ないと言う点では、ファストロングライドにもお勧め。
少しワイドめのギアを装備すれば、よっぽどの激坂難所のコース以外は問題なく走れます。
無駄を排したバイクでより速く楽に走ることができるので、長距離ライドも結果的に楽に早く走れます。

次のロードバイク、何にする?

実際にレースで感じた自転車の乗り心地を熱く語ってくれた原口選手と中村選手。

カーボンフレームは硬くて疲れやすいのではないか。フロントシングルだとレースには物足りないのではないか?そんな固定観念があった二人も実際に車体に乗ってみると「一概には言えない!」という発見があったようです。

全日本最速店長選手権に真剣に取り組んだ二人だからこそ気づいたこのフレームの良さ、発見が全国のライダーにうまく伝わったらうれしいです!

来年はレース仕様のもう少し良いロードバイクがほしい、、、思い切ってフレームから自分の一台をくみ上げたい!なんて考えている方は、ぜひ二人のインプレを参考にしてください!今回ご紹介の車種は残り数台なので、ご検討の際はお早めにどうぞ~!

TEXT:harry