
TOPICS
- ママチャリGP(グランプリ)とは?
- 参加資格と車両規定
- ママチャリグランプリ 寒さ対策 服装編
- 本番前の場所取りレース開幕
- 早めの車検がおすすめ
- 極寒地獄との戦い
- いよいよレースのはじまり
- スピードで競わないというのもアリです
- 富士山見えたら・・・登りの地獄
- 長かったレースもついに終わり、感動のゴールと表彰
- 振り返って、あさひからのお願い
- よくあるトラブル例
- みんな気になる!?ママチャリGPの平均速度について
- まとめ
ママチャリGP(グランプリ)とは?
毎年1月、静岡県にある富士スピードウェイで開催される恒例イベント、「あさひママチャリGP」に記録係として参加してきました。
ママチャリGPは2008年から開催されており、10thを超えるイベントとなりました。
節目となる2018は、例年以上にイベントが盛りだくさんで、ライブや自転車が当たるじゃんけん大会、プロレスなども行われ盛り上がりを見せていました。
大会規模もここ10年で当初の約400チームから約1200チームと、3倍程度伸びています。(去年は1400チームとさらに多かった)
1チームが最大10名程度で、総勢では2万人以上集まります。
家族や同僚はもちろん、最近では会社の運動会等が廃止され、その代りの社内行事として参加するところもあるようですね。
ママチャリGPと聞くと、普段ロードバイクや、クロスバイクなどのスポーツバイクに乗られている方はユルい大会のように感じてしまうかもしれませんが、そこは世界一を決める大会。全国から猛者が集まります。
また知識がある方なら、有利にするために、ハブやリムの交換、ギア比変更、ベアリング交換、高圧タイヤ、チューブへの変更・・・etcしてしまえばいいのではないの?と思われるかもしれません。
しかしそうは問屋が卸さない!ママチャリの基本性能を上げるような改造は不可で、車検等で発覚してしまうと走る事さえできません。
またKY(空気読まない)的な視線が集まってしまいます。
ベアリング交換ぐらいであれば気づかれないかもしれませんが、スポーツマンシップに則り、普段通りの状態で走りましょう。
参加資格と車両規定
ご参考までに、参加資格、規定は以下の通りです。
■参加資格
その1 補助輪なしで自転車を安全に運転できる方
その2 ルールやマナーを守ることができる方
■車両規定
その1 ハンドルは地上95cm以上で固定
その2 サドルは最低位置で固定
その3 タイヤは26インチ限定。オールウェザーのママチャリタイヤを使用すること。リム、スポークの変更は禁止。
その4 ギア・チェーン・ペダル・リムなど駆動系の改造・変更は絶対禁止。純正状態でドロヨケが付いていること。
今年は大会レギュレーションの内、以前であればサドルは地上83cm以下で固定から、シートポストをカットしてでもサドルは一番下げないといけないルールが盛り込まれ、参加者をより一層苦しめるルールが追加となりました。
■富士スピードウェイ コーススペック
全長:4563m
全幅:15から25m
コーナー数:16(左コーナー6、右コーナー10)
ストレート長:1475m
勾配:最大下り10.05%/最大登り8.88%
コースを知っているだけでは勝てない。参加する前からの情報が勝負の分かれ目!
ママチャリグランプリ 寒さ対策 服装編
朝晩は-5℃以下、昼間は10℃位と、寒暖差があります。
特に昼間本気で走ると汗ばむため、汗対策を施した服装での参加が望ましいです。
最初からダウンなど着て走ってしまうと、走行中に暑くなっても温度調整がしにくく、後で汗冷えして寒いことになりますので、インナーには特にお気を付けください。
スポーツ用ではない発熱素材のインナーや綿素材は汗の量によっては乾きにくいので注意が必要です。
本番前の場所取りレース開幕
1200チーム、総勢2万人近い方が参加する大会ですが、それぞれにスペースが確保されている訳ではありません。
そうなると、必然的に開場の15時と共に過酷な場所取りレースが開幕するのです。
早い方だと、開催日の朝から並ぶ方もいます。
そのために有休や半休をとる方も多くいるそうです。
テープが切られると猛ダッシュ!一瞬で長蛇の列に。
テントやコンロ、バーナーはもちろんのこと、発電機など持ち込まれる方もいらっしゃいます。
早めの車検がおすすめ
場所取りレースを終え、一息つく前に、車両の車検を早くに済ませておくことをおすすめします。
17時を過ぎると一旦締切となり、次は明朝の3時から5時の間に受けなくてはなりません。
朝は混みますし、なにより寒くて大変です。
車検を受けたら、空気圧をみる目的でも結構なので、ぜひあさひピットにもお立ち寄りください。
(次の日のAM3時から5時は営業していません。)
点検事項
- 車体 フレーム
- 操舵系 ハンドル、グリップ、ステム、ヘッド
- 駆動系 ペダル、クランク、チェーン、変速ギヤ
- 制動系 ブレーキ関係、ワイヤー
- 走行系 タイヤ、ホイール、サドル、シートポスト
- 駐輪、点灯 スタンド、ライト
- 快適性 泥よけ、カゴ、リアキャリア
- 保安部品等 鍵、ベル、リフレクター他オプション品
極寒地獄との戦い
朝晩は氷点下まで下がります。
参加される方で、テントなどをお持ちでない方は、ピット上の暖房設備を備えたクリスタルルームの確保は必須です。
テント設営される方は、夜間突風が吹くこともあり、火気や暖房器具の取り扱いには注意してください。
翌日朝はラジオ体操から始まります。
寒いですが、しっかりと体を動かし、レースに備えましょう。
いよいよレースのはじまり
一列に並び、今か今かとスタートを待ちます。
7時間耐久レースがスタートしました。
前半、特にみなさん熱い走りを見せてくれます。
気分は高ぶらせながらも、特に初めて参加される方は冷静に走行してください。
特に1コーナーから2コーナーにかけては急な下り坂となり、毎回事故が発生します。
広いコースで回りも速いため、気づかない内にスピードが出てしまい、コントロールできず転倒してしまうケースが後を絶ちません。
街中、シティサイクルで50km以上出したことのある方はほとんどいないと思いますが、ここでは簡単に出てしまいます。
転倒が起こるのは特に午前中の1周から3周目のまだまだ走り初めの時が多いです。件数にして10件、20件なんてものではありません。
ドクターヘリで毎回病院に運ばれる方がいる、魔のエリアなので初めて走られる方は特に、焦らず、急がず、ゆっくりとブレーキをかけてお進みください。
スピードで競わないというのもアリです
何も、スピードで競うだけではないのがこの大会。
スピードで競わないなら、コスプレで目立つのもアリです。
みなさん、毎年工夫を凝らしてカスタムされます。
親子で参加される方が多いのも、この大会の特徴です。
こんな広いコースを走れる機会は少ないので、親子連れも楽しめますね!
富士山見えたら・・・登りの地獄
綺麗な景色♪と、うっとりしていると始まる上り坂・・・。
みんな辛そうに上ります。
しかし、上位を狙う人は、ここが順位を上げる要になるようで、ダンシングしてすごい速度でごぼう抜きしていきます。
富士山が良く見え、景色もいい所なので、ガチな方以外はあまり無理せずにお楽しみください。
長かったレースもついに終わり、感動のゴールと表彰
あっという間の7時間が終わりました。
表彰を狙えなくても、きっと家族や仲間とのきずなは深まったはず。
表彰は上位3チームに送られる他、無段変速上位、ベストコスプレ、ラブラブ(男女2名で7時間)など、様々な切り口で表彰されます。
速さで敵わないと思われた方は、別の表彰を狙ってください。
フォーミュラカー、インタープロト試走
インタープロトには、男女2名体験乗車が可能です。
抽選で選ばれますので、ご興味のある方は当日募集のアナウンスをお聞き漏らしなく!
振り返って、あさひからのお願い
あさひがピットを出し、気づいた点や注意点、よくある修理例をまとめてみました。
傾向と対策として、事前にチェックいただければ当日慌てなくて済むかと思います。
■次回参加される方に事前に必ず・必ず確認しておいていただきたい点
まず第一に、ママチャリとは言え、普段乗られている速度域とは全く異なり、下り坂などでは漕がなくても50km以上のスピードが出てしまいます。
(広く、周りも速いため、体感的にはそんなに速く感じることもありません。)
そんなスピードを出すことは普段ありますか?
原動機付き自転車の政令で定める最高速度が30kmということを考えると、その1.5倍以上の速度を出すことになるのです。
この大会は、お祭りの要素もあり、誰でもルールを守れば参加することができます。
但し、だからと言って、前日にお酒を飲んでから走ったり、自転車のメンテナンスもせず、軽いノリで走るのは危険であることを十分にご理解いただきたいです。
走る前に車検がありますが、車検をする人はあくまで「レギュレーションに沿っているか?」を確認するだけです。
車検をする人は自転車のプロではありません。
これから起こる不具合を予見することも、助言することもできません。
車検に通った=安全である
ということではないのでご注意ください。
出走を決めた際は、下記の項目はせめてご確認いただきたいです。
■超重要項目
・ルールブックの確認
特にレギュレーションの事前確認は必要です。
今年からサドルのサイズが最低に合わせないといけないレギュレーションが決まり、サドルを下げられない自転車はシートポストのカットが必要でした。
レギュレーションは毎年見直される可能性もあるため、毎年参加されているチームの方も必ず目をお通しください。
例) シティサイクルだからと参加したが、実は手持ちの自転車が27型だったというケース。
→26型しか参加できません。(27型の自転車を26型にはできません。)
例) 前子供乗せ付き自転車で参加したら、後輪は26型だが前輪は24型だった。
→24型を26型にもできません。
※どちらも場合も、ご参加いただけません。
・ブレーキが効くかの確認
普段の町乗りでは問題にならなくても、下り坂では50km以上出ることもあるサーキットコース。
止まらない!かけた瞬間ブレーキケーブルが切れた!となったらもう手遅れです。
1年以上ケーブルやブレーキシューを交換されていないなら、交換されることを強くおすすめします。
・タイヤの状態の確認
ブレーキと共に大事なタイヤ。空気がなかったり、タイヤがひび割れていたら突然のバーストのリスクも。
・適正空気圧であるかの確認
空気が少ないというのが圧倒的に多いですが、入れ過ぎているケースも見受けられます。
シティサイクル(ママチャリ)のタイヤはスポーツバイクのタイヤと比べ高い圧力には耐えられないため、空気の入れ過ぎは走行中のタイヤ破裂につながります。
適正空気圧はお守りください。
空気圧はタイヤの側面に記載されています。
(もしわからなければ、あさひ実店舗にお持込いただきましたら無料でお入れします。)
・(ハンドル、サドル、ペダル、ホイール)各部がきちんと固定されているかの確認
各部が緩んでいたり、ホイールが完全に固定されていない、グラグラの状態で走られているケースもありました。
走行中にどれかが外れたり、曲がったりしたら怪我では済まない可能性もあります。
上記は、レース当日にあさひピットで行っている点検を受けていただければ確認や交換することが可能です。
しかし、その他の個所で、例えば補修部品がないパターンやフレームが破損しているなどの重大なトラブル時は修理が行えませんので、レース前にあさひ店舗にお持込いただき「点検」を受けていただくことを強くおすすめします。
よくあるトラブル例
■よくあるトラブル例
・チェーン外れ注意
上り坂の途中で変速してチェーンが外れるトラブル、実は非常に多くあります。
ペダルを強くこいだ状態で変速すると、チェーンが不意に外れてしまう場合があるため、上り坂に突入する前に変速しましょう!
またチェーンへの注油が足りない車種も見られます。しっかり注油してあげることで、変速もスムーズになります。
もし何をつけたらいいのかわからないという方は、超・長期防錆剤 SUPER 強力錆止め・潤滑剤がおすすめです。

・車輪曲り
原因は転倒や接触であったりすることがほとんどですが、速度域が高くて初めて違和感に気づいたケースなど様々です。
・パンク
異物を踏むことは少ないながら、意外と多いトラブルです。
空気圧不足でコースの縁石に乗り上げてパンクするなどケースはいろいろ。事前に適正空気圧を心がけてください。
・カギ壊し
車検を終えた自転車にカギを掛けた状態でピットロードに。次の日カギを開けようとしたら、キーを無くしてカギが開けられない事態に・・・!
キーは肌身離さず持ち歩きましょう!!
■その他、ピットスタッフが実際に出合った事例
・走行中のクランク外れ
・走行中のペダル外れ
・クラックが入ってフレームが割れそう
・・・・などなど
みんな気になる!?ママチャリGPの平均速度について
上位チームの平均速度は、2017年はサドルを最低にしないといけないというレギュレーションが加わり、1位チームの平均時速は33km以上(走行距離232km)でした。変速なしでも29km以上(走行距離209km)。
ちなみに、去年は平均時速は34.5km(走行距離241km)以上だったので、やっぱりこのレギュレーション効いてます。
ということは、普段ベタベタにサドルを下げている方は、両足のつま先が地面に付くくらいの高さにサドルを上げてあげれば、より効率よくぺダリングでき、平均速度を上げることができるという証明かもしれません。
この上位チームはなんと同チーム(キクミミ様)です。このママチャリグランプリ最強チーム、誰か止められませんか?