【MiNERVA-asahi】今シーズン最後のレース。自身初の表彰台を狙う。JBCF経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップレポート

2020.10.17

今シーズン最後に初の表彰台を狙う。布田選手からのレースレポート!

10月11日に群馬で行われた「JBCF経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ」にあさひ公式レーシングチーム「MiNERVA-asahi」の井上選手(E3)、永友選手(E3)、布田選手(E3)、堀井選手(E3)、堀江選手(E3 )、が参戦しました。

本来、前日にはE1 クラスタのレースが開催され、チームのエースである川勝選手(E1)にとってのE1 デビュー戦となる予定でしたが、台風のためあえなく中止となり、今シーズンチームとして最後のJBCFシリーズ戦はE3の5人に託されました。

今回のコースはヘアピンカーブや心臓破りの坂などテクニカルなエリアが特徴的です。例年足切りが続出し、多数の脱落者が出る厳しいコースです。前日までの雨で路面は完全にドライではない状況で、怪我無く選手たちがゴールできることを祈ります。

※JBCF経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ テクニカルガイド参照

仙台から大阪まで全国から集まった選手たちは、各々仕事の合間に練習を重ね、最後のレースに挑みました。仙台から参戦した布田選手のレポートをご覧ください。

中盤からのアタックを目論む。レースプラン通りに進むか。

こんにちは!仙台大和町店の布田です。

今回のレースは台風の影響で前々日まで開催するかどうかすら怪しかったのですが、奇跡的に天候が回復し、当日は時折晴れ間も見える天気になりました。

前日が雨だったのでレースに向けて走ることができず、現在の調子が良いかどうかも確認できていなかったのですが、先月からいい練習を消化出来ていたので、「調子は良い。」と自分自身に思い込ませ、臨みました。

レースプランは、6周目の中間ポイント賞が終わったらアタックをかけ、10人以下の逃げで小集団スプリントに持っていければと思っていました。スプリントに自信が無い自分にとっては正直勝てるイメージがこれしか湧きませんでした。なので6周目まではを使わずに集団内に潜もうと考えていました。

警戒していた選手は寺澤選手(Team Eurasia – iRC TIRE 以下「iRC」)。9月に行われた広島のレースでも強い走りで優勝争いをしていたので、間違いなく頭一つ抜けている選手です。この選手の動きはマークしようと決めていました。それ以外も人数の揃っているアスタマやSBCの選手に気を配っていきます。

レース前にほかの選手がアップを行うなか、自分もローラー台を使おうか迷ったのですが、6周目までは攻めずに集団内に居るプランだったので、その中で十分身体があっためられるだろうと想定し、結局コースを1周試走するのみにとどめました。(後にこれが大間違いだという事に気づきます…)

いよいよスタート。序盤からハイペースなレース展開

スタート形式はローリングスタート。落車のリスクを回避しつつ、いつでも前に出られるように、集団前方右端に位置取りました。

リアルスタートが切られると、最初の登りで何人かの選手がアタックを仕掛けました。

この逃げに乗るつもりは無かったのですが、寺澤選手(iRC)も含まれていたので、チームメイトの堀江選手とともに自分も慌ててブリッジをして、追いかけました。

しかし、この先頭集団の逃げが異常に速く、キツい。

寺澤選手(iRC)が登りをかなりのペースで牽き、一瞬で後続から30秒程のリードを奪いました。下りはコーナリングがうまくいかず、折り返しで毎回遅れをとり、先頭を牽いてる訳ではないのにずっと踏んでいる感じでした。

心拍も一気に最大近くまで上がり、レース前にほとんどアップをしなかった事を心の底から後悔しました。「このままだと打ち上がって終わる…」と思ったので、一緒に走っているチームメイトの堀江選手には申し訳なかったのですが、一周程で先頭集団から離脱し、後ろのメイン集団に戻りました。

先頭集団に追いつく機会を伺うメイン集団。しかし、、、

メイン集団はIRCとSBCの選手達が先頭でペースを作っており、30人程の集団に絞られていました。自分は集団中程でを休め、次のアタックに備えました。集団内には、別チームですが面識のある竹内選手(VC福岡(エリート))も居たので、「中盤で余裕があれば一緒にアタックしよう」と声をかけました。

~ひとことメモ~ 他チームなのに協力するのはなぜ?
ロードレースではいかに空気抵抗が少ない状態で疲労を最小限にして効率的に走れるかが重要になってきます。誰かの後ろで走るだけで、先頭で走っているときに比べて必要なパワーが約3分の2程度に低減するといわれています。
レース中は空気抵抗が最も大きい先頭走行の負担を分散するため、「前の集団に追いつきたい」などの利害が一致すれば敵同士でも先頭を入れ替わりながら走ることがあります。このように協力して走ることを「協調」と表現します。ただ、もちろん勝負なので、それまで協調して走っていたメンバーの一人が抜け駆けしていこうとしたり、疲れたふりをして先頭を拒否したりすることもあります。そのあたり、レース状況や残った選手の特性などによってさまざまな思惑があるので、ある意味、非常に人間臭い競技ですね~

しかし、それ以降は先頭との差が思った程開かず、最大でも50秒程度しかタイム差が開きませんでした。

「先頭集団はかなりのペースで逃げているはずなのに、なんでだ?」と不思議に思いながらも、7周目で自然と先頭に追い付くことになりました。

集団内に警戒していた寺澤選手(iRC)の姿がなかったので、「単独で先に行かれたか!?」と思ったのですが、一緒に先頭で走っていたチームメイトの堀江選手によるとパンクで止まったことを知り、寺澤選手がいなくなったことで、先頭集団のペースが落ち、メイン集団にいたiRCの選手は何とか追いつこうと積極的に牽いていたことを理解しました。

ライバルのアタックを阻止するチームメイト

残り4周。どう動くのが1番勝率が高くなるか必死に考えながら走ります。集団先頭では堀江選手が他チームのアタックを潰していました。「さっきまで逃げていたのに、凄いな」と心底思いました。自分は位置を下げないように集団中程をキープしたまま進みました。

~ひとことメモ~ 妨害するわけではない?ライバルのアタックをつぶすとは
レース中、選手はアタックを行い集団からとびぬけようとしますが、ライバルのアタックに反応し、先頭交代時にスピードを落としたりしてペースを乱して集団に戻すことを「アタックをつぶす」と表現します。

残り3周。ここまで大きな動きはなかったのですが、この周の心臓破りの登りで竹内選手(VC福岡(エリート))がアタックを仕掛けます。竹内選手が登りに強いのは知っていたのと、一緒に逃げればコミュニケーションも取れる。そもそも「ここで行くしかない!」と思ったのでブリッジし、4人程で抜け出す事に成功します。しかし、他の選手との脚が揃わずなかなかペースが上がりません。

残り2周。後ろのメイン集団に捕まってしまいました。「ここでカウンターかけられたら終わるな」と半分諦めていたのですが、今度はチームメイトの堀井選手が心臓破りの登りで単独先頭に出てくれました。この動きのおかげで他チームからのアタックはかからず、集団は一旦落ち着きました。

~ひとことメモ~ エースとアシストの役割について
ロードレースには同じチームメイトの中でもエース役とアシスト役が存在し、チームのエースを勝たせるため、アシストがエースの前を走り風よけになったり、わざと集団から抜け出しライバル選手のペースを乱したりします。今回、堀井選手はほかの選手のためにアシスト役として追ってくるライバル選手の脚を使わせ、うまくペースを乱したことになります。また、うまくいけばそのまま先頭でゴールする場合もあります。個人競技でもあり、チーム競技でもある、自転車レースの面白さですね~

勝負は最終ゴールスプリントに

最終周回。ここからはとにかく位置取りに集中します。しかし、当然他の選手も同じなので位置取り争いが激しくなります。すると、なんでもないコーナーで落車が発生し、これまで一緒に走っていた竹内選手(VC福岡(エリート))が巻き込まれてしまいました。

竹内選手の無事を祈りながらついに最後の心臓破りの登りに入ります。周りを見てみると明らかに他の選手がキツそうなので、自分はパワーを上げて集団先頭付近に出ます。アタックをかけた訳ではなかったのですが、後ろを確認すると集団はバラバラになっており、先頭は自分含め数人にまで絞られていました。

「これがラストチャンスだ!」と思い、その後の下り坂を全力で走ります。

数秒のリードを保ち、2番手で最終コーナーをクリア。残り200mからスプリントを開始し、前の選手を追い抜いていきます。

「勝った!」

と思ったのですが、ラスト20mで・・・

後続に追い抜かれ3位でゴールラインを通過。やっちまった…。

レースを振り返って

「1位以外はない。」そう思っていたので本当に悔しい3位でした。特に今季はE2昇格条件が優勝のみだったので、ゴール後叫んでしまうほど悔しかったです。

考えてもしょうがないのは分かっているのですが、もう5秒早くスプリント開始していれば、あと1枚重いギアを踏んでいれば、と何度も考えてしまいます。

序盤から積極的に動いてくれた堀江選手、終盤に集団を抑えてくれた堀井選手、関西からサポートに来てくださったスタッフにも本当に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

客観的にリザルトだけを見れば、決して自分向きではないコース、理想とは程遠いレース展開、苦手なスプリント、その中では健闘したと思えます。しかし勝てたレースなだけあって本当に悔しすぎます。

レースの反省点は、コーナリング、逃げに乗っている最中の走り方、ゴール前スプリントなど、明らかに経験値不足や技術不足が多いように感じました。これからのオフシーズンでこの辺りの改善と、ベースの強化を行い、来シーズンはいい結果を残せるように頑張りたいです。

レポート:仙台大和町店 布田

その他リザルト

 10/11 JBCF経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップE3

3位 布田選手(E3)
15位 堀江選手(E3)
27位 堀井選手(E3)
DNF 井上選手(E3)
DNF 永友選手(E3)