【MiNERVA-asahi】第28回全日本自転車競技選手権大会シクロクロス・レースレポート

2023.01.20

第28回全日本自転車競技選手権大会シクロクロス

1月15日(日)に愛知県稲沢市祖父江町・国営木曽三川公園「ワイルドネイチャープラザ」で開催された「第28回全日本自転車競技選手権大会シクロクロス・レース」に、あさひ公式レーシングチーム「MiNERVA-asahi」の選手が参戦しました。

※自転車レース特有のルールや用語はこちらでご説明しています。

今回のレースに参戦した選手は下記となります。
・男子エリート(60分) 折橋選手【船橋松が丘店】

<<第28回全日本自転車競技選手権大会シクロクロス・レース コースマップ>>

出典:「第28回全日本自転車競技選手権大会シクロクロス・レース」実施要項より

シクロクロスの日本一を決定するレース

「全日本自転車競技選手権大会(以下、全日本)」その大会名からも分かる通り、自転車で行う様々な競技の日本一(ナショナルチャンピオン)を決定する大会です。

シクロクロスの全日本も、他の自転車競技と同様にエントリーすれば誰もが参加できると言うわけではなく、公益財団法人日本自転車競技連盟(JCF)が定めた参加資格をクリアしていないと参加する事ができません。

そして、優勝した選手には、他の競技同様にナショナルチャンピオンジャージが与えられ、同一種目においては1年間、このナショナルチャンピオンジャージを着用することができます。

自転車競技に参加する選手ならば誰もが目指す「全日本チャンピオン」の座をかけた激しいレース。

今回、MiNERVA-asahiから参戦した折橋選手のレースレポートを、ぜひご覧ください。

 

シクロクロスに付いてよくご存知ない方は、昨年の全日本シクロクロスのブログに競技に関する説明が書かれていますので、今回の折橋選手からのレポートをご覧いただく前に読んでみてください。

【MiNERVA-asahi】第27回全日本自転車競技選手権大会シクロクロス・レースレポート

折橋選手【船橋松が丘店】

リザルト=18位(-4lap)

愛知県稲沢市で行われた28回目のシクロクロス全日本選手権。会場は国営木曽川公園、ワイルドネイチャープラザ。

木曽川に隣接しているこの公園内には、国内では珍しい河畔砂丘が形成されており、今年は文字通りその砂丘を使った「砂」のレースとなります。

今回の会場は国内屈指の難コースで知られ、砂レースの経験が少ない私にとってはハードなレースになること間違いない。

シクロクロスでは3度目の全日本、MTB含めてこれまで参戦した全日本選手権での成績は

2018年度 35位(MTB XCO)
2021年度 33位(シクロクロス)
2022年度 39位(MTB XCO)
2022年度 34位(シクロクロス)

と、どれも真ん中あたりの成績でした。

日本国内で何番目かが決まる今大会で、MiNERVA-asahiのジャージを着て走るからには、もっと良い順位を残したい。

今シーズンのシクロクロスのレースでは、ME1カテゴリにて2位/3位/3位と3度の表彰台、UCIレースの野辺山では、もう少しでUCIポイントに届きそうな位置で走ることができ、調子は例年以上に良い状態にすることができています。砂レースの適正に関しては前週に出場した千葉シクロクロスで確認できましたが、正直なところ苦手分野です。轍をトレースするだけではなく、重たい砂に負けないパワーも必要になってくるので、いかに無駄な力を使わずバイクを進ませることが出来るかが大事となります。

今回のコースは前日に降った雨の影響で、砂は固く締まっていましたが、2時間の試走時間のうち、前半と後半とでも砂の固さが変わりラインの見極めが難しかったです。1周が2.6kmのコースは15mの高低差があり、序盤は抜かしどころの少ない平坦基調の林間ゾーン、中盤からは深い砂をかき分けながらターンを繰り返す上り、そしてコース最後には最大の名物である、砂場への直滑降から続く長いサンドセクションがあります。

砂エリアは基本乗車できますが、あくまで自分のペースで走った場合のみ。前を走る選手でラインが塞がることや、レース中に砂の重さが変化することも想定して、あらゆるライン、また降車するタイミングなど何度も確認しました。空気圧は前後とも1.4barに設定。指で軽く押すだけでタイヤが外れそうになりますが、このくらい空気圧を落とさないと砂ではまともに乗れないと判断し、結果的にちょうどよかったです。

今回は51名のエントリー中、ゼッケンナンバーは50番。最後列からのスタート。苦手な砂のコースで、一番後ろからのスタートは正直気が重いですが、スタート直後に誰かに抜かされる心配がないため、追い上げに集中できる良い順番だと考えるようにしました。

レース当日の天気は曇り、気温は12℃と、時より強めに吹く風が肌寒い。14:35分にコールアップが開始され、一列に8名づつ、50番目の私は右側に並びました。唯一のアスファルト区間であるスタートループは200m、ホームストレートは追い風。

レースは定刻通り14:45にスタート。

スタートはうまく決まり、追い風のせいもあって、あっという間にスピードが上がっていきます。時速にして43km/h、本線に合流したあたりで激しくブレーキの鳴く音が聞こえ、目の前で落車発生。8名弱が巻き込まれる激しい落車で、転倒した選手や吹っ飛んできたバイクに突っ込みそうになりますが、ギリギリで交わして踏み直します。

そして最初の砂区間に突入すると2度目の落車。これまた目の前で発生しましたが、砂区間で詰まることは想定済みのため、落ち着いて避けることに成功し、そこからは可能な限りプッシュし、コース中盤で30番手前後の位置まで上がることができました。

1周回完了時点で、私の前には3名の選手、そのさらに10数秒前には5〜6名のパック、後ろは完全にバラけており、早めに追いつく必要があります。

砂区間では力の差が出やすく、先頭がミスをすると後続も降車せざるを得なくなるため、単独で追いつける可能性が高くなります。林間セクションがあるインコースでは抜きどころがなく、砂もラインは絞られてくるため、どこかで前に出なければいけません。

砂のヘアピンターン後からコース最高標高地点までの砂の上り、ここは最後の下りのために力を温存しようとする選手が多いですが、ミスをしなければ砂の上でも力を使わず上ることもできます。

テクニックと回復力を信じて抜け出し、1回目の砂の下りは全乗車で下りきります。お世辞にも速いとは言えませんが、大幅に遅くもない。

コントロールライン付近で聞かされる順位が耳に入る度、それが今私の日本での順位だと思うと、さらに前へ行かなければという気持ちが強くなる。しかし、深い砂に取られた脚への疲労は予想以上に大きく、ダメージは蓄積していきます。

15位前後を走る前のパックとのギャップは大きく詰まってはいないものの、追いつける距離。こちらが砂区間に入る度、微妙に距離が縮まるのがわかるので、焦ってミスをしないよう慎重に距離を詰めつつ、周回をこなします。

前半の林間区間では砂区間最優先の空気圧とテクニックのせいもあり、前と差が開き、後半の砂の上りで徐々に縮まる、というパターンでしばらく進行しレースを半分近く消化した時点で21番手でした。前のパックはバラけ始め、こぼれた選手をパスしていき、さらに前を追います。

一番差がつくであろう下りのサンドセクションでは、私の周りで走る選手たちとランも乗車も速さでは大きく変わらない状況。

ただ周回を重ねるごとにの回復が追いつかなくなるため、乗れないと判断した瞬間からランに切り替え、確実にタイムを刻んでいきました。前との距離は徐々に詰まってきて、次の周回ではパスできそうです。

しかし、残り4周回を残す最後の砂浜区間で、追っていたパックを最後にラップアウトとなり18位でレースを終えました。

完走できなかったことの悔しさはありますが、順位のベストは更新。今大会の完走者は10名と、序盤の落車の影響などもあってか、かなり少なかったです。

今回は、あくまで過去の成績を塗り替えることが目標でした。51人の選手がいる中で、1番の敵となるのは苦しい時に出てくる弱い自分であって、良い位置で走れなかった時、ラップアウトされてしまいそうな時でも、プッシュする走りがしたかったです。

練習時間などが限られた中でベストは尽くせたと思いますが、もう少し先に見えるのは国内トップ10。

先はまだ遠いですが、目指せない場所ではないと思っています。全日本は終わったものの、まだシーズンは後半です。次からもベスト更新につながる走りをしていきたいと思います。

そして、怪我なく、自己ベストの結果を残せたのは万全のサポートがあってのことでした。シクロクロスは個人競技ですが、サポートの力がリザルトへ直結するチームスポーツでもあると思っています。

移動手段のことや宿泊の手配、自転車の準備、レース会場での整備、調整はもちろん、駐車場からピットまでのスペア機材の運搬、試走〜レースまでの限られた時間の中での洗車、ライセンスコントロール含む、「スタートラインに並ぶまでの準備」を1人で行うと本番のレースで余裕が生まれません。そしてレース中、トラブルがあってもピットに行けばなんとかなる、と思えることでいつも以上に攻めることもできます。

こう言ったことを任せられることで、レースだけに集中することができ、それが今回の結果につながった大きな要因だったと思います。

まもなく2023年度JBCF J ELITE TOURがはじまります

2月になると、新たなロードレースのシーズンがはじまります。

今シーズンは2月25日(土)〜26日(日)に鹿児島県の鹿屋市・肝付町と志布志市で開催される「第1回鹿屋・肝付ロードレース」と「第1回志布志クリテリウム」が開幕戦となり、MiNERVA-asahiの選手も参加を予定しています。

2023年シーズンも、MiNERVA-asahiは更なる高みを目指して全力でペダルを漕いでいきますので、引き続き皆様からの応援・ご声援をよろしくお願いいたします。

過去のMiNERVA-asahiのレースレポートはコチラをご覧ください。